木村正男さんの遺影を手に悔しさを語る妻慶子さん(左)と長女陽子さん(5月17日、京都市内)

木村正男さんの遺影を手に悔しさを語る妻慶子さん(左)と長女陽子さん(5月17日、京都市内)

 京都の原告による建設アスベスト訴訟を巡っては今年1月、最高裁が国やメーカー側の上告を退け、建設労働者25人中24人への賠償責任が確定した。残る1人で、屋外で働く屋根工だった木村正男さん(享年72)についてのみ国とメーカー2社の上告を受理した最高裁は17日、一審京都地裁、二審大阪高裁の判断を覆し、木村さん側の請求を棄却した。

 判決では、従来は屋外での石綿粉じんの濃度は高くないとされた測定結果があり、建材への使用が禁じられた2004年ごろまで国やメーカーは屋外の建設労働者に危険が生じていることを認識できなかったと判断した。

 「地裁でも高裁でも認められてきたのに、なぜ最高裁で屋外労働者だけ認められないのか。納得がいかない」。6年前に亡くなった木村さんの遺志を継ぎ、原告となった妻慶子さん(77)=京都市北区=と長女和田陽子さん(45)=中京区=は京都市内で会見し、憤る思いを打ち明けた。

 「退職したら新婚旅行で行った所をもう一回ゆっくり行きたいね」。そう話していた木村さんは、退職後すぐにせきが止まらなくなり、中皮腫と診断された。「それでも私たちは前向きに生きてきた。まじめ一筋の人だった。なぜ、こんなことになったのか」。慶子さんは悔しさをにじませた。

 原告弁護団の大河原壽貴弁護士は「被害者を働いていた場所で線引きされるのは許されない。差別や線引きをしない救済制度づくりに尽力していきたい」と今後を見据えた。