65歳以上の高齢者が4月から支払う介護保険料の全国平均が、初めて月額6千円を超えた。制度が始まった2000年度からの約20年間で倍増した。

 介護が必要な人が増え、サービスの需要も増大していることが背景にある。

 年金など収入が限られることの多い65歳以上の負担増加には限界があろう。さらなる高齢化の進展をにらんで、制度を抜本的に見直す必要がある。

 40歳以上が支払う介護保険料のうち、65歳以上は、介護が必要な人の割合などに応じて市町村や広域連合ごとに基準額が決まる。

 3年に1度の見直しで、今回の全国平均は、前回の5869円から2・5%増の6014円となった。京都府は3・2%増の6328円、滋賀県も2・6%増の6127円となった。

 新型コロナウイルスの感染拡大による厳しい家計に配慮し、保険料を積み立てた基金を取り崩すなどして、保険料を据え置きや減額とした自治体もあった。ただ、サービスにかかる支出を賄えない状況に歯止めがかかっていない。

 負担増を背負い切れない高齢者もいる。

 介護保険料を滞納して資産の差し押さえを受けた65歳以上の人も全国で約2万人に達し、過去最多を更新した。老後の安心を支えるはずの制度が、逆に大きな負担を強いるのは本末転倒だ。

 コロナ禍の影響によるデイサービスなどの利用急減への対応で、事業者に支払われる介護報酬費は4月から0・7%引き上げられた。慢性的な人手不足に悩む現場の待遇改善にも充てられるが、それだけで介護サービスの提供体制が維持できるかは未知数だ。

 悪化している介護保険財政の改善への道筋も描けてない。

 介護が必要な人は21年度で680万人となり、制度開始時より400万人以上増えている。高齢化がピークとなる40年度には約870万人となる見込みだ。

 持続可能な制度のためには、給付と負担のバランスが求められよう。サービス利用の際の自己負担額を増やしたり、保険料を支払う年齢層を引き下げたりする対策が必要になるとも指摘されている。

 ただ、サービスの縮小や利用控えで身体の機能が低下し、介護がさらに必要になる懸念もある。

 政府は、介護が必要な高齢者を社会全体で支える、という原点を見失ってはならない。議論の材料を広く提示し、検討作業を急ぐべきだ。