健康被害への責任を国やメーカーも免れないと結論付けた。

 建設現場でアスベスト(石綿)を吸い込み、肺がんや中皮腫などを発症した元労働者と遺族が起こした京都など4件の集団訴訟で、最高裁が初の統一判断を示した。

 判決は、国が石綿の危険性に対して防じんマスク着用義務付けなど規制を怠ったのは違法とし、賠償責任を認めた。メーカーも一定の範囲内で責任を負うとした。

 「建設アスベスト」訴訟は2008年以降に全国で起こされ、原告数は約1200人に上る。先行した4訴訟で多くの原告の勝訴は既に確定していたが、一部で高裁の判断が分かれていた。

 今回の最高裁による責任認定を国とメーカーは真摯(しんし)に受け止めねばならない。長期の訴訟中に病状が悪化して亡くなった人も多い。早急に補償の枠組みを設け、被害者の全面救済を図るべきだ。

 最高裁は国の責任について、石綿の吹き付け作業を禁止した1975年には建材への危険性表示やマスク着用を指導すべきだったとし、規制をしなかったのは「著しく合理性を欠く」と批判した。

 争点だった「一人親方」と呼ばれる個人事業主への国の責任も認めた。国は会社勤めの労働者以外、健康は自分で確保すべきと主張したが、最高裁は保護対象とした東京高裁などの判断を支持した。

 幾重もの下請けが働く建設現場では一人親方が約3割に上る。他の従業員と同じように働く実態を踏まえた妥当な判断といえよう。

 メーカー責任を巡っては、健康被害との因果関係の立証が焦点だった。京都訴訟で原告の主張を踏まえて建材の市場占有率(シェア)に基づくメーカー責任が初めて認定され、今年1月に確定した。

 東京訴訟の二審では退けられたが、最高裁は改めてシェアによる立証を認めた。ただ、被害者の作業の内容や期間で個別に判断すべきとし、司法判断での線引きの難しさもにじませたといえる。

 アスベスト被害は続いている。2019年度の労災認定は千人を超え、うち約6割が建設関連だ。

 被害者や遺族には、労災保険や06年制定の石綿救済法に基づく給付制度があるが、原告は不十分だとしている。係争中や未提訴の人を含めて国とメーカーによる補償基金の創設を求めている。

 与党は被害者1人当たり最大1300万円を支払うなどの和解案をまとめ、立法化を目指す方針という。被害者らの長い苦しみに報いる政治の責任は重い。