父親殺害事件の構図

父親殺害事件の構図

 筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者への嘱託殺人罪で起訴された2人の医師らが一方の父親を殺害したとされる事件は、19日で3容疑者の逮捕から1週間となる。被害者と逮捕された親子の一家は、裕福で家族仲も良いように見えたと知人らは話しており、事件には謎が多い。一方で、逮捕された医師2人は高齢者医療に否定的な思想を隠していなかった。京都府警は動機や殺害の経緯を慎重に調べている。

 逮捕されたのは、亡くなった山本靖さん=当時(77)=の息子で医師の直樹容疑者(43)、妻の淳子容疑者(76)、医師の大久保愉一(よしかず)容疑者(43)。2011年3月5日、共謀して靖さんを東京都内で殺害した疑いがある。

 ■「派手な服装、プライド高そう」

 関西の財界人も居を構えた奈良市の閑静な住宅街。直樹容疑者が有名私立高校を卒業して医科大学に入る頃まで、淳子容疑者や靖さんら家族が暮らしていた。住民によると、靖さんは都銀の銀行マンで、主婦だった淳子容疑者は自宅でピアノ教室を開いていた。母子で登山やハイキングを楽しむこともあったという。

 淳子容疑者を知る人たちは「子どもの教育に熱心だった」と口をそろえる。直樹容疑者を中学受験の塾に車で送り、小学校の教育方法に不満があれば教師に直談判することもあったという。近くに住む80代女性は「子どもを医者にしたい。大学は医学部に入れたい」と淳子容疑者が語る姿を覚えている。

 夫妻は2000年夏、奈良市の自宅を売却し、長野県軽井沢町へ移り住む。自宅や別荘を購入する準備として2年弱、アパートで暮らした。知人の60代男性は「けんかする様子もなく、夫婦仲は良さそうに見えた」と語る。

 当時の淳子容疑者について、男性は「いつも派手な服装で、お金持ちのマダムという印象。プライドも高そうだった」と明かす。高価なティーセットを譲ってくれたこともあった。一方で靖さんは「口数の少ない、おとなしい人」。自転車で近所にごみ捨てに行く姿を見かけたという。

 その後、夫妻は東京都内に引っ越したといい、事件後の14年、淳子容疑者は軽井沢町の高級マンションを購入。経済的には恵まれた生活を送っていたようだ。