■高齢者医療に否定 医学知識を悪用か

 直樹容疑者と大久保容疑者は医学生時代に知り合ったとされる。2人は15年、共著で「扱いに困った高齢者を『枯らす』技術」という電子書籍を出版。家族の介護を受ける高齢者について「証拠を残さず消せる方法がある。違和感のない病死を演出できれば警察の出る幕はない」と記している。大久保容疑者はツイッターで「現代の姥捨山が必要」などと、高齢者への延命治療を否定する投稿を繰り返していた。

 事件翌日の11年3月6日、大久保容疑者はツイッターに「知人の父親が亡くなり死亡届をだしたら『火葬場の予約がないと受理できない』と突っ返された」と関与をうかがわせるような書き込みをしていた。

 捜査関係者によると、直樹容疑者と淳子容疑者は事件前、靖さんについて「周囲を不幸にする」と記したメールを交わしていた。府警は父親の存在を疎ましく感じていたとみている。

 捜査関係者の説明では、靖さんの死亡診断書は「心臓の異常による急死」と記載されていたが、医師らが知識を悪用して偽造した疑いがあるという。関係者によると、大久保容疑者は11年当時、厚生労働省を退職して国立大学の法医学教室に勤務していた。検視の知識があり、死体検案書の作成に慣れていたとみられる。

 滋賀医科大の一杉正仁教授(社会医学)は「医師が死亡診断書を偽造することは想定されておらず、行政職員が見抜くのは不可能だ。偽造が事実とすれば、医師としての倫理意識が欠如している行為で絶対に許せない」としている。