頭髪や下着の色を規制するなど、プライバシーや人権に関わる不合理な校則が全国的に問題となっている。児童生徒の多様性を認め、何をどう見直していくかが問われている。

 全国の都道府県と主要市区の計99教育委員会のうち、2017年度以降、学校に校則見直しを求める通知を出したのは3割弱にとどまることが共同通信のアンケートで分かった。

 文部科学省は「社会の常識、時代の進展など」に応じて校則を絶えず見直すべきだとしている。校則制定の裁量は校長にあるとされるが、見直しに向けた動きは自治体によってばらつきがある。

 校則を巡っては、17年に大阪府立高の生徒が地毛の黒染めを強要されたとして提訴したのを機に、社会的関心が高まった。

 ベルトや靴の色、ヘアピンの本数まで細かく定めた厳しすぎる規則が各地でクローズアップされ、批判の声が上がっている。

 今年3月には、制服と私服の選択制導入を訴えている教員らが、いわゆる「ブラック校則」を排除する姿勢を明確にすることなどを求め、文科省に約1万8千人分の署名を提出した。

 学校には、さまざまな家庭環境の子どもたちが集まる。みんなが円滑な学校生活を送るには、一定のルールは必要だろう。

 だが、人種や性別、年齢などにかかわらず、多様性を認め合うことは、以前にも増して重要になっている。生徒たちを合理性のない規則で縛ることは、人権侵害にもなりうることを認識する必要がある。

 文科省の19年度の調査では「学校の決まりなどを巡る問題」が理由で不登校になった児童生徒は5千人を超えている。

 学校に行きづらくさせている現状を重く受け止め、子どもたちの個性や自主性を尊重した環境にしていかなければならない。

 その際に重要なのは、児童生徒が主体となることだ。

 熊本市は4月から、校則制定・変更への児童生徒の参画を義務化した。福井市や長野市の中学校では、生徒会がアンケートを行い、前髪の長さや靴下の色などの変更につなげた。

 生徒たちが自ら考え、さまざまな意見を踏まえて議論し、答えを求めていく経験は、社会の中で必要な力を養い、民主主義を学ぶことにもつながるだろう。

 校則見直しを、学びの機会として生かしてほしい。