料理の入った四角い荷物を、自転車やバイクに載せて運ぶ人を、京都市内などでも、よく見掛けるようになった。

 配車アプリ世界最大手の米ウーバー・テクノロジーズ社が、日本では3年前から始めた食事宅配サービス「ウーバーイーツ」の配達員である。

 今月に入って配達員らは、労働条件について同社と団体交渉をするため、労働組合を結成した。

 従業員ではなく、個人事業主として扱われ、労災や雇用保険の対象となっていないことなどに不満を抱いている。

 巨大IT企業である強者のウーバーに、立場の弱い働き手の権利が軽んじられるような事態が、あってはならない。

 労組を必要とする人々の声に、きちんと耳を傾けておきたい。

 このサービスは、スマートフォンの専用アプリで依頼を受けた配達員が、店から預かった料理を注文した人に届けるものだ。

 誰でも配達員として登録でき、空いた時間を使って報酬を得られる。収入の足しにするため、働きたいという人も少なくない。

 今では全国で、1万5千人以上が配達員を務めているとされる。これだけ大勢が従事しているのだから、働く環境を整えておかねばならない。

 ところが、ウーバー側は、配達員と注文者、店舗を仲介する場を提供しているだけで、雇用関係はないとの立場を取っている。

 これが、雇用保険などの負担を回避していると指摘されている。契約内容の変更や配達員の利用登録(アカウント)停止が、一方的に行われるとの批判もある。

 配達員が業務中にけがをしても、アカウント停止で仕事を失うことを恐れ、補償を強く求められなかった事例もみられるという。

 労組側が当面、事故への補償、アカウントの運用、報酬の計算などについて、詳細な説明を求めていくのは当然のことだ。

 ウーバー側は、今月から配達中の事故に対する補償制度を導入したものの、労組との交渉に応じるのか明らかではない。働き手がいなくなると、サービスを継続できないのだから、状況の改善には、誠実に取り組んだ方がよい。

 家事の代行やベビーシッターの派遣など、巨大IT企業が仕事の仲介に乗り出す分野は、広がっている。

 こうした新たな働き方に、どう対応していくのか。国なども議論を急ぐべきだ。