近畿などが観測史上最も早く梅雨入りし、警戒が必要な大雨シーズンに入った。

 近年の豪雨災害は、台風以外にも長時間にわたって大雨を降らせる雲がかかり続ける「線状降水帯」が、大きな被害をもたらしている。

 気象庁は、今年の梅雨期から、線状降水帯の発生に警戒を促す「顕著な大雨に関する気象情報」を新たに発表する。

 レーダーによる解析雨量や、降水地域が「線状」になっているなどの基準を満たす場合、「命に危険が及ぶ災害発生の危険度が急激に高まっています」と自動的に呼び掛ける。同庁のホームページの地図で、降水帯の発生地域を楕円(だえん)形で示す。

 避難や被害の低減に役立てたい。

 線状降水帯は、積乱雲が50~300キロにわたって連続発生し、同じ場所に大量に雨を降らせ続ける現象だ。激しい豪雨災害の要因の一つとされ、近年広く知られるようになった。

 昨年7月の九州豪雨では、9日間で13回発生し、球磨川の氾濫で浸水した老人ホームの高齢者14人を含め、熊本県内で65人が犠牲になった。

 京都府北部で土砂崩れなどの被害が出た2018年の西日本豪雨でも、東海地方より西の広い範囲で15回発生したとみられている。

 そうした状況を見れば、線状降水帯に関する情報発信は、災害への危機感を高める手段の一つになりえるだろう。

 住民に防災情報を出す行政は、雨量や河川の水位など他の情報やデータと合わせ、適切な避難の呼び掛けに活用してほしい。

 一方、降水帯の発生予測は今後の課題だ。気象や地形などが関係しているとされるが、発生場所や雨の量、降り続く時間などは、現在の技術では困難だという。

 気象庁は、降水帯の発生につながる海の水蒸気量の調査を、観測船を活用して今年から実施する。来年の梅雨期をめどに、発生の半日前の予報を始める方針だ。

 豪雨をもたらす雲は、大気が不安定化しやすい夜間に発生することが多いという。日中に予報が出るようになれば避難しやすくなる。技術開発を進め、予測精度の向上を期待したい。

 きのう、災害時に市区町村が発令していた避難勧告が廃止され、避難指示に一本化された。線状降水帯の情報と合わせ、住民も危機意識を高め、命を守る行動につなげたい。