少年法の適用年齢を引き下げるよう訴え、記者会見する少年事件の遺族たち(2020年1月30日、東京都千代田区・東京地裁司法記者クラブ)

少年法の適用年齢を引き下げるよう訴え、記者会見する少年事件の遺族たち(2020年1月30日、東京都千代田区・東京地裁司法記者クラブ)

 事件を起こした18、19歳の厳罰化を図る改正少年法が21日、成立した。「厳罰化は更生の妨げになる」という意見がある一方、少年法の適用年齢の引き下げなどを求めてきた少年犯罪の被害者遺族は「引き下げ見送りは納得いかないが、少年法に苦しめられてきた被害者にとって前進」と一定の評価をしている。

 千葉県の澤田美代子さん(64)は2008年、次男=当時(24)=が、当時19歳だった少年の運転する軽トラックに意図的にはねられて殺害された。加害者は少年法が適用され、懲役5~10年の不定期刑とされた。加害者は刑事裁判で「知らない人だから殺してもいい。自分は少年だから死刑にはならない」と述べていた。澤田さんは「少年法で守られることを知った上で罪を犯した。理不尽に命を奪った罪なのに余りに軽い」と憤る。

 澤田さんは少年法の適用年齢を18歳未満に引き下げるよう求めてきた。「(民法改正で)18、19歳は成人になるのだから、少年法の対象から外すべき」とする。今回の法改正で引き下げが見送られたことは不満というが、「息子を奪われ、少年法にも絶望させられた。法改正で、同じ苦しみをする遺族が少しでも減れば」と願う。

 法改正で18、19歳の「特定少年」は起訴されると実名報道が可能になる。少年犯罪で長男を亡くし、法制審議会では委員として少年法の適用年齢引き下げを訴えた武るり子・少年犯罪被害当事者の会代表は「18歳でも罪を犯せば顔も名前も報じられる可能性があると社会が教え込めば、抑止力になるはず」と強調する。

 審議の過程で識者からは、厳罰化は少年の保護と更生という法の理念に逆行しているとして反対意見が相次いだ。しかし、武代表は「現状でも更生しているとは言えない。遺族は泣き寝入りしている」と反論する。約35家族と連絡を取り合うが、加害者から誠意ある謝罪を受けている人はおらず、多くが損害賠償金も支払われていないという。

 法制審で武代表は、加害者の更生のために謝罪や賠償金の支払いを国が指導することや、早期から被害者の声を矯正教育に生かすことが必要と訴えてきた。この20年、武代表が関わった少年法改正は今回で5度目。「一つ一つ実現してきたが、まだ十分ではない。今後も訴え続ける」と関連法案改正の行方を注視する。