パレスチナ自治区ガザでは、これまでに子どもを含む200人超が犠牲になったとされる。イスラエルでは、10人余りの死亡がメディアで伝えられた。

 ロケット弾と空爆の応酬で、尊い命がさらに失われる事態は、何としても避けねばならない。

 そうした状況の中で、イスラエル政府と、ガザを実効支配するイスラム組織ハマスが、停戦を受け入れた。

 応酬が始まってから、12日目。遅きに失した感は拭い切れないものの、きのう未明の停戦発効に、ひとまず安堵(あんど)したい。

 イスラエルの安全保障会議は停戦を満場一致で承認し、「無条件で受け入れる」と表明した。

 一方のハマスは、「ガザへの攻撃が止まるとの保証を仲介役から得た」との声明を出した。

 双方が停戦を受け入れたのは、市民を巻き込んだ衝突に対して、国際社会の批判が高まったからだろう。

 イスラエルは、空爆が過剰な武力行使であると、多くの国々に受け止められた。このため、国際的な孤立を招く恐れがあった。

 停戦発効は、仲介した近隣のエジプトが、国連や米国などとの調整に努めたことが、功を奏したとされている。

 ただ、米国のバイデン大統領が一貫してイスラエルとの関係を重視し、その「自衛権」としての空爆を擁護する立場を変えなかったのは、残念であった。

 米議会に影響力のあるユダヤ系など親イスラエル勢力の存在を、考慮せずにはいられなかったのかもしれない。

 とはいえ、双方の応酬が始まってから、国連の安全保障理事会が繰り返し開かれながら、一致した対応を取れなかったのは、米国がイスラエル寄りの立場を優先した結果ではなかったか。

 バイデン政権は、人権の重視と国際協調を掲げて発足した。それだけに、国内外から失望する声が上がったのは当然である。

 今回の衝突は、双方にとっての聖地エルサレムを巡る対立が、根本にある。

 停戦したからといって、イスラエルは、入植地からパレスチナ人を退去させようとする態度を、直ちに改めはしないはずだ。

 ガザ地区では、パレスチナ自治政府の求心力が低下し、イスラエルに対して強硬な姿勢を示すハマスが実効支配を続けている。

 紛争の火種は残る。国際社会の監視が、今後も必要となろう。