町内全戸に配布されたタブレット端末。5月には新型コロナ情報をまとめたページへのリンクボタンも新設した(伊根町平田)

町内全戸に配布されたタブレット端末。5月には新型コロナ情報をまとめたページへのリンクボタンも新設した(伊根町平田)

 高齢化率が50%近い京都府伊根町が、IT(情報技術)化を進めている。昨年、全戸にタブレット端末を配布し、行政情報の配信を始めた。従来の防災行政無線とは違い、機能が追加でき、住民サービスの幅を広げることができる。新型コロナウイルス情報の発信にもフル活用しており、デマンド交通の予約システムやビデオ会議などへの活用も模索している。

 「これに連絡が入ったら魚選(よ)りに出掛ける。使い方もタッチするくらいなら簡単」。伊根町の男性(70)は居間にあるタブレット端末を慣れた様子で操作する。男性は漁港で魚を選別する仕事をしている。船が戻るタイミングで地元定置網漁会社が通知を送る仕組みだ。

 このシステムは伊根町ネットワーク回覧板「いねばん」。配信内容は、魚選りや助成金の募集、通行止め情報、診療所の診察日など多岐にわたり、地域別の配信もできる。日々更新される新型コロナウイルス関連情報も発信、住民はワクチン接種の予診票の記入方法などを画像で確認できる。

 以前の防災行政無線では情報を読み上げるだけで、住民が聞き逃してしまう課題があったが、今は後から内容を確認できる。特に、緊急地震速報や避難指示などの緊急情報は画面の真ん中に強調して表示する。

 今後は、来年度町内で開始を目指すデマンド交通の配車予約アプリを導入する。また、ビデオ会議システム「Zoom(ズーム)」で、町民を対象とした研修会をオンラインで開くことも検討している。保健福祉課の担当者は、実現すればこれまで交通手段が無く、研修会に行けなかった人も参加できると期待する。

 千賀和孝・企画観光課長は「いねばんを住民サービスの中心にしたい。そのためには、高齢者のデジタル機器への抵抗感をなくしたい」と話す。町はタブレット端末導入時に各自治会を回って使い方講習会を開いたが、デマンド交通開始前に再び行うことを検討。また、来年度以降に同町平田の古民家に移転する計画の図書情報室は、無線LANやプロジェクターを備え、住民にデジタル機器の使い方を教える講座も開く予定という。

 ただ、それでもIT機器に不慣れな人はいる。配信される情報にはコロナ禍に関するものなど重要なものも多いが、町は利用状況を十分に把握できていないという。住民に確実に情報が届いているか確認し、住民サービスに差が出ない努力が必要だ。