各部屋の前に出されたごみ箱を集める男性スタッフ。ごみは感染性廃棄物扱いとなるため、フロアから運び出す際には入念に消毒を行う。感染と隣り合わせの作業だ(19日、草津市若竹町・草津第一ホテル)

各部屋の前に出されたごみ箱を集める男性スタッフ。ごみは感染性廃棄物扱いとなるため、フロアから運び出す際には入念に消毒を行う。感染と隣り合わせの作業だ(19日、草津市若竹町・草津第一ホテル)

 新型コロナウイルスの感染拡大で医療体制が逼迫(ひっぱく)する中、宿泊療養施設の役割が重要になっている。滋賀県内にある3カ所のうち、草津第一ホテル(草津市)は感染「第4波」の4月以降、使用率が4割前後と比較的高い状況が続く。数日間から2週間近くを客室で過ごす感染者の療養を支えるスタッフたちに密着した。

 「おはようございます。熱は収まりましたか」。ロビーに設けた事務スペースから療養者が滞在する客室へ、看護師が順に健康確認の電話を入れる。ホワイトボードには解熱剤の投薬状況など、経過観察が必要な人々の状態が詳細に記されていた。

 同ホテルは143室が療養施設として稼働する。県が借り上げ、2月1日から運営する。取材した5月19日午前時点で60室が埋まっており、看護師や県の依頼を受けた派遣スタッフら約20人体制で療養者の健康観察や支援に従事している。

 滞在しているのは、検査で陽性になった人のうち軽症か無症状の人たちで、国の基準で発症日や陽性確定日から10日間を過ごす。多くは単身だが、中には幼い子連れの親もいる。従事者への感染を防ぐ観点から、エレベーターを常時止めるなど事務スペースと客室との動線は遮断している。「電話だけでは分からないこともある。不安なことがあればアクリル板で仕切った問診室で対面するが、健康観察にはかなりの注意が必要です」。女性看護師(35)の声に緊張がにじむ。

 正午前、エレベーターの電源が入れられた。昼食や菓子など家族からの差し入れを届けるという。記者も医療用ガウンや手袋を着用し、防護服姿のスタッフ2人に同行した。

 客室階に到着しても、スタッフは各部屋を訪ねない。廊下の一角にある配膳台に部屋番号を記した弁当などを置き、部屋から出されていたごみを手早く回収していく。「療養者さんは部屋から出られない。少しでも早く届け、食事を楽しんでほしい」(スタッフ)。同ホテルでは独自に朝夕の食事は調理場で作ったできたてを届けるなど、滞在中の孤独や不安を和らげる工夫をしている。