押印を不要にした書類では、廃止前の書類にあった「(印)」の表記がなくなっている(福知山市内記・市役所)

押印を不要にした書類では、廃止前の書類にあった「(印)」の表記がなくなっている(福知山市内記・市役所)

 行政への申請手続きなどで必要とされてきた「はんこ」を原則廃止する政府の方針を受け、京都府北部の各市で見直しが進んでいる。宮津市と福知山市は2021年度の開始に合わせて一部を廃止し、長年続いた「押印文化」が変わろうとしている。

 宮津市は4月、内閣府の「押印見直しマニュアル」に基づき、市に提出する申請書など、約600の手続きで押印義務を廃止した。ファクスやメールによる提出も可能にし、サービスの向上と業務の効率化を図る。

 押印義務を求めていた約千種類の手続きのうち、約95%を25年度までに見直す。現時点では、補助金の交付申請書や住民基本台帳の閲覧申出書などが対象。実印を求める手続きは存続する。

 行政内部でも見直しを始め、本年度から総務課内で一部廃止した。試行の後、回覧文書や起案関係の書類などに電子決裁を導入する予定で、紙の消費量を3割程度削減できるという。担当者は「紙を回してはんこをもらうのは、昭和から続く文化。戸惑いは見られるが、労働環境の改善のためにも、しっかりと進めていきたい」と話す。

 福知山市は4月1日時点で対象の1938の申請書などのうち、補助金交付や児童扶養手当の認定など、約3分の1に当たる631の手続きで押印を廃止した。残りは市の規則や要綱の見直しが必要なものが627と最も多く、契約関係で検討を要する手続きもあるという。市経営戦略課は「本年度も規則の改正などが必要なものを中心に順次、廃止していきたい」としている。

 舞鶴市は見直し作業を3月に始めた。条例や慣行に基づく押印は代替手段なども含めて必要性を検討している。押印の根拠や廃止方法について全課の意見を集計しており、市総務課は「数が膨大で集計には時間がかかるが、できるだけ早く不要な押印を廃止したい」としている。

 京丹後市は、廃止が可能な申請書があるかどうかを20年度、庁内で照会した。今後、条例や規則などの改正を検討し、市総務課は「早ければ、来年度中にも押印が廃止できるよう検討している」とする。

 綾部市でも各部局で扱う書類の体裁を集約し、検証している。市独自の手続きは本年度中に廃止を進める予定。市財政課は「契約業者によっては周辺自治体との整合性が必要になる。先行する自治体の例も参考にしていく」としている。