大津市の交差点で車2台が衝突し、巻き込まれた保育園児2人が死亡、保育士を含む14人が重軽傷を負った事故から今月で2年がたった。

 右折車と対向の直進車がぶつかり、弾みで直進車が歩道で信号待ちをしていた散歩中の園児の列に突っ込んだ。

 全国で園児の散歩ルートの緊急点検が行われ、これまでに約3万カ所で対策が講じられた。右折車の運転手は自動車運転処罰法違反などの罪で禁錮刑が確定している。

 それでも子どもが被害者になる交通事故は後を絶たない。

 「社会全体が変わったと感じることは、ほぼありません。どれだけ行政やハード面が強化されたとしても、無責任で危険なドライバーは依然として多く、不安です」。大津の事故で大けがをした園児の保護者のコメントは重い。

 遺族らは今月、同法違反容疑で書類送検された直進車の運転手の不起訴処分を不服として検察審査会に審査を申し立てた。

 事故を二度と繰り返さない社会に―という切実な思いにどう応えるかは、審査会だけでなくハンドルを握る一人一人に問われているのだろう。

 普段の運転を振り返り、あらためて意識を高めたい。同時に、誰もが事故の当事者になり得ることを踏まえ、まち全体でさまざまな角度から安全向上に取り組む必要がある。

 この2年間に大津市は市道など814カ所で、交差点を目立たせるためのカラー舗装やガードレールの設置を行った。

 全国では、自治体と警察が点検で把握した危険箇所総数の8割に当たる3万カ所で減速帯の整備などが終わった。本年度中に9割になる見通しだ。

 ドライバーに注意を促す「キッズゾーン」の路面表示も徐々に増えてきた。保育施設から半径500メートルを対象に、大津市では498カ所に表示した。これに続いて宇都宮市、東京都港区、大阪府東大阪市なども取り組んでいる。

 一方、同じく大津市が先駆けとなった「キッズガード」の配置は思うように進んでいない。散歩などの園外活動の見守り役で、市は2019年7月に元保育士1人に委嘱、2園で試行したものの、広がっていない。

 園外活動は曜日や時間帯が一定でないため、対応できる人材が地域に少ないことや、見守り役としての責任範囲が曖昧なことなどを挙げる声が現場にある。全国でも新たな人員配置に積極的な園は多くないようだ。

 今のやり方に工夫の余地はないのか。大津市には、他の自治体や園にも参考になるような対応策を発信してもらいたい。

 カラー舗装や減速帯を整備した後の効果も、自治体と警察が主体となって点検・検証することが不可欠だ。

 交通事故では衝突速度が時速30キロを超えると、致死率が上がることが知られている。減速効果を確認し、狭い生活道路へはそもそも車両の進入を規制するなど、安全への努力を常に続ける必要がある。