画像提供=西京味噌(「お味噌ふくふく便り」より)

<京の知恵 しあわせの食 小宮理実>

 こんにちは。料理研究家の小宮理実です。今回は私の得意とする「おせち料理」をご紹介します。

 お正月に欠かせないのは「お雑煮」です。お餅を口にすることで、歳神(としがみ)様から生命力を分けていただきます。京都に多いのは昆布だしに白みそを溶いたお雑煮。軟らかく煮た丸餅、雑煮大根や金時(きんとき)にんじんなどを入れ、おわんにはかつお節をのせます。長男のお雑煮には「人の頭に立てるように」と、里芋の親の頭(かしら)芋を入れたりします。

 子孫繁栄を願う「数の子」。塩抜きした数の子は、昆布とかつお節のだしがベースの漬け汁に浸します。このとき、お茶パックに花かつおを詰めたものを一緒にして味を含ませると、風味がいっそう増します。「ごまめ」は田作りとも言い、五穀豊穣(ほうじょう)を願います。弱火にかけたフライパンでごまめを気長にいり、ポキンと折れるくらいになったら一度取り出し、調味液をフライパンに入れます。焦げないようにゆすり、小さな泡が出てきたら、いったごまめを戻してからまぜます。輪切りの唐辛子を加え、白ごまも。くっつかないように油を塗ったバットかアルミホイルに広げて冷ましてください。

 「たたきごぼう」には地に根を張って生きる、安泰の願いが込められています。米のとぎ汁でゆでたゴボウを麺棒などでたたき、水分をキッチンペーパーでおさえてから、ごま酢に漬けこみます。

 マメに働けますようにと願う「黒豆」。京都風にシワを入れないで仕上げるため、私は沸騰させた湯に洗った豆と調味料を入れて火を止め、ふたをして半日置いてから火にかけています。落としぶたをして弱火で5~6時間。好みの軟らかさになったら火を止め、しょうゆを加えます。冷ましながら味を染み込ませます。

 巻物の書物や着物に困らないようにと反物に例えた「だて巻き」は、白身魚のすり身と卵に特製「甘だし」を入れてミキサーで攪拌(かくはん)し、オーブンで焼きます。焼き上がったら焼き目に包丁で切り目をいれ、巻きすで巻きます。ラップをして冷蔵庫で寝かせるとしっとりします。

 家族の健康と新しい年のしあわせを願うおせち料理。思いを込めて作りたいですね。(料理講座「幸せ運ぶフクチドリ」主宰)

【2020年12月20日朝刊掲載】

ホームページ「料理研究家・小宮理実」(https://komiyarimi.com/)


◆小宮理実 こみや・りみ 1971年京都市上京区室町生まれ。おせち料理・行事食研究家。家庭で作る季節の行事食を伝えており、食育活動のほか、商品開発も手掛ける。著書「福を呼ぶ京都 食と暮らし暦」「京のおばんざい四季の味」。