再整備の工事費用の増額が繰り返されている京都市役所の本庁舎(24日、京都市中京区)

再整備の工事費用の増額が繰り返されている京都市役所の本庁舎(24日、京都市中京区)

 京都市が発注する公共工事で、事業費を増額するケースが相次いでいる。京都新聞社が過去3年間の議案などを調べたところ、計66件で増額分が60億円を超えることが分かった。特に市役所庁舎や市京セラ美術館など大型公共事業で、計画段階になかった費用が億単位で積み上がっているのが目立つ。市は5月議会で市立芸術大の移転に向けた新規契約議案を提案したが、議会の中には「また着工後に費用が膨張するのでは」との不信感も出た。

 市の公共工事は、計画や設計段階で議会と市ホームページなどで公表した後、工事を請け負う業者との契約議案を議会に出し、可決を経て着工に至る。だが、契約締結時の事業費のまま工事が進むとは限らない。

 本紙が2018年2月議会から今年5月の議会にかけ、市が提案した公共工事案件のうち、工事内容の見直しなどに伴う金額変更を調べた。計66議案の総額約2180億円のうち、61億5千万円が契約後の増額だった。いずれの議案も可決されている。

 昨年5月にリニューアルオープンした市美術館(左京区)では、再整備に着工するための当初の契約金額は101億4千万円だった。しかし、本館の雨漏りなど想定以上に老朽箇所があったことなどから2度変更し、計9億9千万円を増額した。同館は「既存の古い建造物を生かした再整備だったので、当初から隅々まで予見できなかった」と説明する。

 市中央卸売市場第一市場(下京区)の再整備事業(事業総額約600億円)では、水産棟(148億円)の工事で21年2月議会に13億6300万円が追加された。掘削した土壌から新たなコンクリート塊が見つかり、撤去したことなどが原因という。第一市場では今後も青果棟などの工事を予定する。担当者は「市場が営業を続ける中の再整備で、事前調査には限界がある」と話す。

 直近の5月議会では今年8月末に完成予定の市役所本庁舎(中京区)で事業費4億円を追加する。実に5度目となる増額議案だ。地中から想定にない不要な基礎が見つかるなどして、当初の134億円から約2割(25億円)増の159億円に費用が膨らんだ。市庁舎管理課は「工事に入ると、思っていた以上に建物が老朽化していた」と理解を求める。

 さらに市は5月議会に、市役所北庁舎(同区)を新築するための76億円、市立芸術大(西京区)と銅駝美術工芸高(中京区)を下京区に移転・新築する91億円の新たな工事契約議案も提案した。

 市財政を巡っては、21年度予算で歳入の不足額が236億円に達するなど深刻化が著しい。市は破綻状態に当たる「財政再生団体」を回避するため5年間で約760億円の財源が必要とし、敬老乗車証の見直しなど市民サービスの削減を来年度以降、本格的に進める構えだ。市議からは「財政危機だとして負担増を求める一方で、大型公共事業を進めることに市民の理解を得られるだろうか」と懸念する声も上がっている。

■識者は「甘い考えないか」