脱炭素への重要な一歩といっていいだろう。

 二酸化炭素(CO2)の「排出削減対策がない石炭火力発電への国際投資をやめなければならない」―。先週、オンラインで開かれた先進7カ国(G7)の気候・環境相会合で採択された共同声明だ。

 来月のG7首脳会議に続き、11月には国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)が英国グラスゴーで開かれる。

 議長国の英国は、CO2排出量が多い石炭火力の全廃を打ち出し、議論をリードすることで存在感を高めようとしている。脱石炭火力への動きが加速することを期待したい。

 ただ、日本の消極的な姿勢が足かせにならないか懸念する。共同声明に石炭火力の「全廃」が盛り込まれなかったのは、日本の強い反対のためと英国メディアが報じている。

 梶山弘志経済産業相が「各国の事情を尊重」するよう訴え、国際支援廃止の例外として各国の裁量による支援継続が認められた。日本は昨年、輸出先に経済的な理由があり、高効率の石炭火力を求められた場合には支援するとしたのを踏まえた主張だ。

 しかし、こうした例外を持ち出すのは、脱石炭火力の動きにブレーキをかけるようなものだ。

 G7各国をみると、石炭火力の廃止を英国は2025年、フランス22年、カナダ30年、イタリアは25年までに実現していくとしている。日本は孤立しないだろうか。

 共同声明は、石炭火力の廃止に伴う企業経営や雇用への影響にも目を向けている。持続可能なグリーン経済への移行や、労働者が新しい技術や知識を身に付けるための支援を打ち出している。

 すでに欧州連合(EU)では「公正な移行」として公的支援が進められている。スペインでは石炭火力発電所の閉鎖に伴い、政府と企業、労組が協定を結び、脱炭素化に向けた電力会社への投資や、労働者の職業訓練への支援に取り組むという。

 菅義偉政権は温室効果ガスの削減目標を13年度比で26%から46%に引き上げた。しかし、達成の道筋ははっきりしない。技術革新への期待を述べるだけでなく、脱炭素への移行を長期的ビジョンと同時に具体的な政策転換として示すべきではないか。

 その際、稼働中の石炭火力発電所の廃止や建設計画の見直しが、現実的な課題として立ちはだかるはずだ。脱石炭の国際潮流に覚悟して向き合ってもらいたい。