わいせつ行為で懲戒免職となった教員が免許を再取得するのを制限する法案が近く国会に提出される。成立が見込まれている。

 教育現場のわいせつ事案は深刻だ。2019年度にわいせつ行為やセクハラで懲戒処分や訓告を受けた公立小中高などの教員は273人で、過去2番目に多かった。勤務校の児童生徒や卒業生が被害者だったケースが半数近くを占める。

 過去には、児童ポルノ事件で逮捕された教員が別の地域で採用され、子どもに加害した例もある。

 わいせつ行為で処分を受けた教員が素通りで再び教壇に立つことがないよう、仕組みを設けることは理解できる。

 免許再取得の制限は、憲法が保障する「職業選択の自由」の制限にもつながる。慎重な運用が求められる。

 法案は、与党の検討チームが3月から協議を始め、超党派で議員立法としてまとめた。

 その柱は、免許授与権を持つ都道府県教育委員会に、再取得の拒絶権を与える点だ。わいせつ行為で免許を失効した教員でも、現在は3年後に再取得できるが、法案では都道府県教委が「適当と認める場合」に限る。第三者による審査会の意見を聴くことで、公平性を保証するとしている。

 再交付の可否を判断する際は、更生状況などの基準が必要だろう。教委の裁量権が拡大し過ぎないようにしなければならない。

 わいせつで免職となった教員の情報を、国がデータベースで管理することも盛り込んだ。教委や私立学校が採用時などに参照することを想定しているという。

 だが、処分歴を長期間共有することは、人権問題にもなりかねない。刑法は刑の執行後10年たてば、刑の効力を失うとしている。

 掲載期間や閲覧者の範囲など、取り扱いには十分検討が必要だ。情報漏えいや悪用がないよう、厳重な管理が欠かせない。

 被害根絶には、免許再取得の制限だけでなく、未然に防ぐ環境や体制の整備も重要だ。

 文部科学省は4月、会員制交流サイト(SNS)で教え子との私的なやりとりの禁止や、密室状態で子どもと1対1になるのを避けるなど、予防的な取り組みを進めるよう都道府県教委などに通知を出した。学校現場は、工夫しながら実施していく必要がある。

 教員の性暴力は、児童生徒に生涯にわたって深刻な影響を与える。その重大さに即した実効性ある対策を講じてほしい。