レジ前に弁当とコメを並べている「ドラッグひかり」の店舗。コロナ禍で食品の品ぞろえを強化するドラッグストアが出てきた(京都市北区)

レジ前に弁当とコメを並べている「ドラッグひかり」の店舗。コロナ禍で食品の品ぞろえを強化するドラッグストアが出てきた(京都市北区)

 新型コロナウイルスの流行が収まらない中、一部のドラッグストアが食料品の品ぞろえをさらに強化している。外出を極力減らし、最寄りの1店舗で買い物を済ませたいと考える消費者が増えているためだ。コンビニでは総菜や冷凍食品(冷食)を拡充して「ミニスーパー」化する動きもあり、コロナ禍に伴う生活習慣の変化がドラッグストアやコンビニ、スーパーの業態の壁を溶かしつつある。

 <西賀茂農家さん直送賀茂の野菜>―。京都市北区の「ドラッグひかり西賀茂店」には、地元産をアピールする掲示とともに生鮮野菜が並ぶ。レジ前には市内の有名飲食店の弁当も登場した。


 市内で15店舗を展開するドラッグひかりは、コロナ禍に見舞われた昨年から多くの店で食料品の取り扱いを強化している。スーパー出身のバイヤーが市場から青果を直接仕入れる力の入れようで、冷食では中華料理店「マルシン飯店」や「亮昌(すけまさ)」の冷凍ギョーザも取り扱う。ひかりの運営会社の尾池勇紀副社長は「生鮮や冷食のおかげで顧客の来店頻度が上がり、スーパーのように使ってもらえている」と自信をのぞかせる。


 2000年代以降に店舗数を急速に拡大させたドラッグストアのビジネスモデルは、利益を度外視した冷食などの安値販売で集客し、利益率の高い医薬品や化粧品で稼ぐことにあった。


 ただ、近年はネット通販の普及によって「医薬品や化粧品も価格競争に巻き込まれやすくなった」(尾池副社長)。さらに突如降りかかったコロナ禍では、化粧品などのインバウンド(訪日外国人)需要が消失した。このため、収益のてこ入れ策として、ひかりは高付加価値の食品の強化を急ぐ。


 ドラッグストアの「スーパー化」は大手の一部でも進む。ウエルシアホールディングス(HD)は、冷食や肉類、調味料の品ぞろえを充実させている。ツルハHDは、魚以外の生鮮食品や冷食を豊富にそろえ「特に冷食ではスーパーに負けない」(広報)と対抗心を燃やす。


 コロナ禍で自宅での食事が増える「ニューノーマル(新常態)」に対応するため、コンビニ各社も本腰を入れる。ファミリーマートやローソンは、冷食や総菜の品ぞろえを増やすとともに、家族向けを狙って一部商品の大容量化にも踏み切った。ファミマは5月中旬から総菜などの自社ブランド「お母さん食堂」の高付加価値シリーズの商品数を増やした。


 一方、ドラッグストアとコンビニの攻勢にさらされているのがスーパーだ。コロナ禍の「巣ごもり需要」を取り込んで堅調な業績が続いているが、府内の中堅スーパーの社長は「食品の売り上げは確実にドラッグストアに奪われている。生鮮品や総菜をもっと充実させなければ、『コロナ後』に淘汰(とうた)が進んでしまう」と危機感を示す。