政策項目を総花的に並べたとの印象は拭えない。

 政府は、予算編成の基本指針となる「骨太方針」の骨子案を経済財政諮問会議に示した。菅義偉政権が発足して初めてで、6月中に最終案をまとめ、閣議決定する。

 新型コロナウイルス禍の克服後を見据え、重点的に取り組む4項目を示した。経済と環境の好循環を目指すグリーン社会の実現、デジタル化加速、活力ある地方づくり、子育てしやすい社会の実現-だ。

 暮らし関連の政策をアピールする一方、国際公約といえる脱炭素化や中長期的課題である財政健全化に向けた検討を盛り込んだ。

 ただ、全体的に目新しい項目はなく、本気で達成しようとの姿勢もうかがえない。

 子育てについては、「こども庁」創設を念頭に支援策や児童虐待対策を掲げた。だが、こども庁を巡っては、対象とする政策や子どもの年齢などについて党内や省庁間で思惑の違いがある。

 グリーン社会実現に向けた脱炭素化では、拡大する再生可能エネルギーのコスト引き下げの具体策は見えず、原発の将来像に関しても世論は割れている。

 地方創生に向け、最低賃金の引き上げで経済底上げを図るとするが、賃上げには飲食、宿泊業などを中心に中小企業から反対もある。それ以前にコロナ禍で痛手を受けた雇用の回復こそが喫緊の課題ではないか。

 懸案を乗り越える見通しがないまま方針案に盛り込んでも実効性には疑問符がつく。それで「骨太」と言えるのか。

 コロナ対策のため大幅に悪化している財政をどう立て直すかは、以前にも増して大きな問題だ。

 菅首相は「プライマリーバランス(基礎的財政収支)黒字化などの財政健全化の旗を降ろさず、歳出改革努力を続けていく」と述べたが、努力の中身は見えない。

 政府は2025年度に黒字化する目標を掲げるが、財務省の試算では24年度の赤字幅は11兆3千億円と、厳しい現実がある。

 少子高齢化という構造的要因を抱える中、社会保障制度の財源に関する議論も十分ではない。

 20年前から続く骨太方針は、首相のリーダーシップで必要な改革を断行する大きな指針だったはずだ。しかし、近年は形骸化が指摘されている。「骨太」に掲げる以上は、国民に課題と解決の道筋を具体的に示すべきだ。秋までにある衆院選に向けた「実績作り」にしてはならない。