高齢者を対象とする新型コロナウイルスワクチン接種の予約で、インターネットでの手続きに苦慮したり、電話がつながりにくかったりする混乱が起きている。

 こうした状況を受け、京都市は集団接種について、市民がネットと電話で予約する方式を改める。接種希望者からの申し込みをいったん全て受け付けて、後に市が日時を指定して通知するやり方にするという。

 高齢者の個別申し込みに応える方法から、市が希望者の接種日程を総合的に調整する方向への大きな転換と言える。京都府内では、舞鶴市や京丹後市などが類似の方式を採用しており、予約を巡る大きな混乱は起きていないという。

 命と健康に関わるワクチン接種予約が「早い者勝ち」となっている現状はおかしい。

 京都市は、新方式での接種場所は基本的に希望通りで日程については無作為で選ぶとしているが、市民の理解を得ることが不可欠だ。日時の変更についても、柔軟な対応が求められる。

 ワクチン予約の混乱は、自治体や国が実施主体となる接種方法が複数存在することにも起因する。

 かかりつけ医などで受ける個別接種は、日常診療への影響を考慮して医療機関名が非公表とされているケースが多く、予約の取りにくさが指摘されている。集団接種への殺到を防ぐためにも改善が欠かせない。

 京都市は、6月1日からすべての機関名を公表する方針だ。各自治体は医師会とも連携を深め、円滑な実施に努めてほしい。

 都道府県などは、自治体の枠を超えた大規模接種会場も設ける。京都府は来月中旬に2カ所を設置し、滋賀県も検討している。

 それぞれ異なる予約方法となれば、市民には理解しづらくなる。

 一方、政府は自衛隊の医療従事者を投入する大規模接種センターを、東京と大阪に設けた。だが、自治体への予約をキャンセルしない「二重予約」が起きている。

 重複したワクチンが無駄になったり、2回の接種で異なる種類の投与を受けたりする恐れもあり、注意が必要だ。政府や各自治体には、分かりやすい情報提供が求められる。

 7月末までに高齢者の接種を終えるという政府の目標に対しては、「打ち手」となる医療従事者の不足が指摘されている。地域の実情を踏まえながら希望者を取り残すことなく、安全、迅速に接種が進むよう工夫を重ねてほしい。