英国変異株の電子顕微鏡写真(国立感染症研究所提供)

英国変異株の電子顕微鏡写真(国立感染症研究所提供)

 新型コロナウイルス感染者の身元を特定しようとする行為について、人権上「許されない」と考える人が多くいる一方、身近なところで感染者が出た場合は「やむを得ない」と感じている人が一定割合いる-。こうした傾向が、京都府が実施した府民意識調査で浮き彫りになった。感染に対する不安感やストレスから、感染者の情報を得ておきたいという欲求が背景にあるとみられ、人権意識の低下が懸念される。

 調査は、府内に感染「第3波」が押し寄せ始めた11月下旬~12月上旬、18歳以上の男女3100人に郵送とインターネットで実施した。回答率は49・4%(回答者1531人)。

 実社会やネット上で感染者を特定する行為について、46・6%は「許されない行為で、感染拡大防止の取り組みに支障が生じる」を選択した。一方、「身近な地域などで感染が判明した場合、やむを得ない」と答えたのが26・1%で、4分の1を占めた。ほかは「わからない」が10・6%、「特に問題視するようなことではない」が7・0%、「自分には関係のないこと」が2・7%など。

 感染拡大に伴い世間で叫ばれるようになった意見への認識を尋ねたところ、「マスクをつけていない人はモラルが低い」が「そう思う」「どちらかと言えばそう思う」の合計で78・9%、「若者世代が感染を広げないよう、責任のある行動をすべき」が同77・2%と、それぞれ賛同する人が多かった。他者への厳しい見方が強まっている傾向がうかがえる。

 また、感染拡大防止に役立つなら「自分の人権をある程度犠牲にしてもかまわない」と考えている人が合計33・9%だった。緊急事態宣言などで生活や仕事が制限を受ける状態が長期化する中、人権より感染対策を優先せざるを得ないとの考え方が広がっているとみられる。

 コロナ関連以外で、以前から同様の調査で尋ねている設問の「人権が尊重された豊かな社会になっている」は同25・6%。前回調査(2014年度)より7・4ポイント減っており、上昇から減少に転じた。

 府人権啓発推進室は「コロナで感じた不安や恐怖によって、攻撃の矛先が他人に向かいがちな傾向がみられる。冷静に対応してもらえるよう、正確な情報発信や啓発に努めたい」としている。

 調査結果は、コロナ禍を受けて3月末に改定した第2次府人権教育・啓発推進計画に反映させた。