松沢哲郎・元京都大特別教授

松沢哲郎・元京都大特別教授

 チンパンジー研究の世界的権威で文化功労者である松沢哲郎・元京都大特別教授らが京大霊長類研究所(愛知県犬山市)などに関わる研究資金約5億円を不正支出したとされる問題で、昨年、京大を懲戒解雇された松沢元特別教授が28日までに京大に対し、教授としての地位確認を求める訴えを京都地裁に起こした。

 訴状によると、松沢元特別教授は2006~12年に同研究所の所長を務め16年に定年退職。同年~21年3月の契約期間で京大高等研究院の特別教授の職にあった。

 10年に、ヒトやチンパンジーの実験で心の働きを解明する研究が日本学術振興会の補助対象に選ばれ、3年間で計14億円の交付決定を受けた。実験用に大型ケージ設備などを購入したが、大学側は、業者の赤字補填(ほてん)のために架空契約や二重支出をしたり、別の業者と安く契約をできると知りながら、それより高額で取引業者に発注したりするなどの不正を行ったと認定。松沢元特別教授は昨年11月に懲戒解雇され、名誉教授の称号も取り消された上、退職金の返納も求められているとしている。

 松沢元特別教授側は、京大の調査結果で事実認定に誤りがあり、自身の故意または重過失による不正を認定した懲戒解雇は違法であり、無効だと主張。代理人弁護士は「大学側に不正確な調査の見直しを再三要請したが聞き入れてもらえなかった。証拠をもとに裁判の場で申し述べる」とのコメントを出した。京大は「係争中のためコメントは控える」としている。

 この問題を巡っては昨年11月、京大が松沢元特別教授と同研究所の教授を解雇するなど研究者と事務職員の計6人を懲戒処分にした。