政府は、京都をはじめ9都道府県に発令中の緊急事態宣言を6月20日まで延長することを決めた。

 新規感染は関西圏や東京で減少傾向がみられるものの依然として高水準だ。重症者数も高止まりして医療体制の逼迫(ひっぱく)が続いている。

 新たな変異株の拡大も予断を許さず、宣言を解除できる状況にないのは明らかだ。

 政府は、3度目となる宣言を4月下旬からの大型連休中の「短期集中策」として実施した。だが、十分に効果が上がらぬまま5月末まで延長された。今回の決定でまたも出口が遠ざかる。

 政府の甘い見通しと泥縄式の対応が、我慢が続く事業者や国民の政治に対する信頼と対策効果を弱める負の循環に陥っていないか。

 菅義偉首相は3週間延長で「感染防止とワクチン接種の二正面作戦の成果を出す」と強調した。

 だが、感染収束に着実に導く具体的な手だてと根拠の説明はほとんど聞かれなかった。

 新たな期限となる6月20日は、追加で宣言対象とした沖縄県とそろえた形だ。東京五輪開幕のほぼ1カ月前までに感染を極力減らしておきたいという政府の思惑が透ける。この期間内に目に見える改善を図れるかが問われる。

 再延長に際して、政府は酒類やカラオケ設備を提供する飲食店への休業要請を柱に、これまでの感染防止策を続けるという。

 ただ、大阪府は百貨店への休業要請を京都府、兵庫県と同じく平日は時短要請とし、東京都も同様の緩和策をとった。

 人の流れを減らすのが感染抑止策の肝だったが、緩和によって再び人出が戻って接触リスクが増すことへの対処が求められよう。

 長引く宣言下で飲食・サービス分野などの苦境が深まっている。協力金の早期支給や雇用調整助成金の特例継続など、経営と雇用の維持、困窮世帯への支援にきめ細かな目配りが必要だ。

 「宣言慣れ」などで対策徹底が難しい中、政府の「頼みの綱」がワクチンだ。接種の加速に総力を挙げるとしているが、感染力が強いインド変異株の拡大ペースに追い付けるかが懸念されている。

 医療現場では、宣言の延長対象の大半でコロナ患者向けの病床使用率がステージ4(爆発的感染拡大)相当のままだ。入院できず自宅やホテルで療養中に亡くなる人も後を絶たない。

 病床の上積みと医療提供体制の早期拡充を図らなければ、宣言解除は見えてこない。