「しつけ」と称した体罰が後を絶たない。厚生労働省による初の実態調査で、半年以内にしつけ名目で体罰を加えた親が3割を超えた。場合により必要とする容認派も4割強を占めた。

 悲惨な児童虐待事件が相次ぐ中、昨年4月に子どもへの体罰を禁じる改正児童福祉法などが施行されたものの、家庭内での体罰に対する認識の甘さが浮かび上がった。

 調査は、体罰禁止の法制化を踏まえ、昨年11~12月に18歳以下の子どもを育てる親や祖父母ら約5千人を対象に行われた。

 過去6カ月以内に体罰を与えたと回答した人では、「尻や手の甲をたたくなど物理的罰を与える」や「怒鳴ったり『だめな子』などと否定的言葉を言ったりして心理的に追い詰める」といった行為が目立った。

 親が子どもの言動にいら立ったり、子育てに自信がなかったりすると、体罰の頻度は高まった。子育てのストレスと体罰に関連性があるとみられる。

 日本では「口で注意するだけでは駄目」といった体罰容認の考えが根強いが、改正法は明確に体罰を禁じている。しつけ名目とはいえ、多くの家庭で体罰が行われている実態を看過するわけにはいかない。

 厚労省の指針によると、体罰は「身体に苦痛や不快感を与える行為」を指す。子どもが言うことを聞かなかった時、長時間正座させる、尻をたたく、夕飯を与えない―などが当たる。そもそも「子どもをサポートして社会性を育む行為」である、しつけとは相いれない。

 子どもを従わせるのに、体罰は手っ取り早いかもしれない。しかし怒鳴り、たたく行為は暴力であり、恐怖や痛みによって子どもを支配しているにすぎない。実際に、虐待が疑われる事案で、しつけだから、と主張して暴力を正当化する親が少なくないという。

 民法は親権者に必要な範囲で子どもを戒める「懲戒権」を認めている。体罰容認の根拠になっているとの指摘もあり、法務省が見直しに向け検討を急いでいる。削除すべきだろう。

 さまざまな事情があるとしても、体罰によって振り回され、心身共に傷つくのは子どもたちだ。子どもの成長に強い影響を及ぼす懸念が拭えない。

 体罰を受けた人は感情や思考を制御する脳の一部が萎縮し、学習意欲の低下や心の病を発症しやすいといった研究結果が報告されている。一つのことに集中できなかったり、感情をうまく表現できなかったりする傾向も強いという。

 体罰を受けていた人ほど自分が体罰を振るうことに抵抗感が薄いという「世代間連鎖」も指摘されている。

 法律を守ることはもちろんだが、子どもの発達への悪影響をきちんと認識することこそが体罰根絶につながる。

 一方、子育てに悩み、ストレスを抱え込む親は多い。苦悩が体罰につながらないように国や自治体は相談などのサポート体制を充実してほしい。子どもを守り、育てるには何より親の愛情が不可欠だ。社会全体で子どもたちの健やかな成長を見守っていくことが大切である。