今年の夏と冬の電力需給が厳しくなると懸念されている。

 経済産業省は、関西などで安定供給の目安となる最低水準に迫るとの見通しを示した。急場を乗り切るため、発電事業者に供給力確保を求め、利用者に省エネへの協力を呼び掛けるとしている。

 電力需給は、今年1月にも全国的に逼迫(ひっぱく)したのが記憶に新しい。冷暖房などの需要急変に対応が困難な供給構造の課題が指摘されている。

 暮らしや産業を支える電力需給が綱渡りとならぬように要因を分析し、中長期を見据えた対策強化が求められる。

 電力供給にどれだけ余裕があるかを示すのが供給予備率で、最低でも3%が必要とされる。

 経産省の見通しでは、今年7~8月の電力ピーク時の予備率は、北海道と沖縄を除く各地で3・7~3・8%になるという。地域間の電力融通を織り込んでも最低限の水準に近い。

 さらに厳しいのが来年1~2月だ。関西、九州などは3%台だが、関東は予備率のマイナスが見込まれている。これは節電要請や大規模停電につながりかねない状況とされる。

 需給逼迫の要因とされるのが、火力発電の供給力低下だ。

 世界的な脱炭素化の流れもあり、火力は縮小方向にある。電力会社でコストがかさむ老朽化した設備の休廃止が相次いでいる。昨夏に稼働していた火力のうち、停止や休廃止によって約830万キロワット分の供給が本年度は見込めなくなったという。

 一方で、太陽光や風力など再生可能エネルギーの導入が進んだ。これらは気象条件によって発電量が左右されるため、悪天候と需要のピークが重なりがちな冬場の供給見通しを立てにくくなっているという。

 今年1月の電力逼迫では、関西で電力使用率が99%に達した。寒波で暖房需要が急増し、火力燃料の液化天然ガス(LNG)在庫の不足が重なった。

 このため経産省は、今夏以降の対策として、発電事業者に十分な燃料確保を求め、トラブルで停止しないよう保安管理の徹底を呼び掛ける。

 冬の予備率がマイナス見通しの関東では、発電所の補修時期の変更などを調整。企業の自家発電設備に供給要請し、休止中の発電所の稼働も促す方向だ。

 大手電力を中心に安定供給への責任を果たすとともに、国による後押しも必要だろう。

 経産省は、中長期の対策として、急な供給力低下を防ぐため休廃止を予定する火力の事前届け出の義務化も検討している。

 火力と再生エネをバランスさせつつ、どう安定供給を保つか。2050年の温室効果ガス排出実質ゼロを目指す方針も受け、見直し議論が進むエネルギー基本計画で位置づける必要があろう。

 今夏は、家庭や企業に具体的な節電要請までは行われないが、厳しい需給推移を考えた効率的な利用が求められよう。

 コロナ対応や熱中症予防での電力使用は必要不可欠だ。日常の生活様式やテレワークなど働き方を見直す中で、できる限りの節電を心掛けたい。