坂の多い地域で、高齢者らの「生活の足」として活躍している循環バス(京都市山科区)

坂の多い地域で、高齢者らの「生活の足」として活躍している循環バス(京都市山科区)

 京都市山科区の小金塚地域で実証運行されている循環バスが、存続の危機にひんしている。市から補助を受けて京阪バス(京都市南区)が運行しているものの、コロナ禍で乗客数は伸び悩び、来年度の本格運行は厳しい情勢となった。高齢化が進む坂道の多い地域で住民の足をどう守るのか、課題となっている。

 小金塚は山あいの丘陵地を開発した住宅街。急勾配の坂道が多く、最寄りのバス停は地域のふもとにしかなかった。このため、小金塚自治連合会は坂の上まで巡回するバスの運行を市に要望し、住民も私有地を市に無償譲渡して市道拡幅に協力するなど、十数年かけて準備を進めてきた。

 悲願がかない、2019年3月には、12人乗りの車両で1日24便の実証運行がスタート。本格運行には1便当たりの乗客数が8人を超える必要があり、自治連はイベントやチラシ配布などで利用客増に努めてきた。

 しかし、京阪バスによると、昨年夏ごろに6人程度だった平均乗客数は、年明け以降に4人程度と低迷。市の補助期間は本年度までで、目標水準を達成できない場合、循環バスが廃止される恐れもある。同社は「本格運行するには車両やバス停の再整備も必要。利用者が伸びなければ、収支面から存続は厳しい状況」という。

 地域は周囲を大津市に囲まれた飛び地にあり、高齢化も進む。自家用車を運転できない高齢者が増えれば、買い物や通院に大きな影響が出る。玉木誠一会長(68)は「高齢で坂の上り下りが困難な上、車の免許を返納している人も多い。生活の足として、何とか公共交通を残したい」と話す。

 山科区内では京阪バスの路線廃止や減便が相次ぎ、市は1997年に区内から撤退した市バスの復活を検討している。しかし、循環バスは検討の対象外で、市バスが代替することはないという。市歩くまち京都推進室は来年度以降の方針は未定とし、「引き続き地域住民と連携して生活交通の維持確保に努めたい」としている。