新型コロナウイルスの感染拡大に伴って、図書館が休業となったり、利用制限されたりする事態が生じている。

 研究活動や論文の執筆に支障が出るケースもあり、改善を求める声が上がっている。

 この問題を巡って先週、改正著作権法が成立した。公布から2年以内に施行され、図書館の蔵書を電子データ化し、利用者にメールで送信することなどが、できるようになる。

 図書館に行かずとも資料を入手できて、なおかつウイルスが感染する機会の抑制にもつながるとあって、利用者にとっては、朗報といえよう。

 文化庁によると、現行法では、研究目的で文献の一部をコピーできるものの、原則として図書館を訪れる必要がある。

 コピーを郵送してくれるところはあるが、一部に限られ、届くまでには時間を要する。

 蔵書をメールで送信するといったサービスの実施は、想定されていなかった。

 感染拡大によって、この問題が顕在化したため、国の文化審議会は昨年8月から、作業部会を設けて対応を協議していた。

 部会の報告を受けて、著作権法を改正することとなり、蔵書のメール送信のほか、国会図書館が保有する絶版本など入手困難な書籍の電子データも、利用可能になるという。

 コロナの影響で、図書館のデジタル化も進展するようだ。

 ただ、利用者へのサービスが充実する一方で、作家や出版社にとって不利益となる面があることは認識しておきたい。

 文化審議会の作業部会は報告書の中で、電子データの利用は書籍丸ごとではなく一部にとどめ、著作権者らには補償金を支払うべきだ、とした。

 また、その金額は、失われてしまう利益を補う水準にするよう求めている。

 成立した改正法は、これらについて、送信できる範囲や、作家らへの補償金額を、今後、検討していくとしており、結論を先送りした格好となった。

 補償金を著作権者らに直接、支払うのは、自治体など図書館の設置者であるが、実質的には必要経費として利用者から徴収することになりそうだ。

 関係者には、蔵書の利用促進を図りつつ、出版活動や作家の執筆意欲を萎縮させない対応を、ぜひともしてもらいたい。