ウトロ地区のうち、競売開始の申し立てが取り下げられた土地(右側)。左側の5階建て建物が宇治市営住宅1期棟=京都府宇治市伊勢田町

ウトロ地区のうち、競売開始の申し立てが取り下げられた土地(右側)。左側の5階建て建物が宇治市営住宅1期棟=京都府宇治市伊勢田町

 太平洋戦争中に京都飛行場建設に携わった朝鮮人の子孫らが暮らす京都府宇治市伊勢田町のウトロ地区のうち、民間の不動産会社が所有し京都地裁が競売開始を決定していた約1・2ヘクタールの土地について、債権者が競売の申し立てを取り下げたことが1日、分かった。競売の開始が決定された土地に今も暮らす10世帯前後の住民らはひと安心している。

 競売が取り下げられたのは、ウトロ地区のうち、不動産会社「西日本殖産」(大阪市)が所有する西側と北側の土地。債権者の「中央建物」(大阪市)による申し立てを受け、京都地裁が2019年7月に競売開始を決定し、入札公告に向けて土地価格や売却条件などの調査を進めていた。京都地裁などによると、中央建物が先月25日付で申し立てを取り下げたという。

 ウトロ地区を巡っては、住民側が00年、西日本殖産から土地の明け渡しを求められた訴訟で敗訴が確定。その後、支援者や韓国政府からの出資を得た2財団が地区東側の土地を取得し、日本政府と京都府、宇治市の構想に基づいて市営住宅1期棟が完成。18年1月に約40世帯が入居した。

 競売開始決定された土地に暮らす住民は、21年度に着工、22年度に完成する市営住宅2期棟に入居する予定だが、それまでに入札が公告された場合、落札者の対応によっては立ち退きを迫られる可能性もあった。地区の関係者は「住民らは競売開始が決まった時には不安があったが、取り下げと聞いてほっとしている」と話す。