穏やかな表情を見せる安念寺の「いも観音さん」(長浜市高月町渡岸寺・高月観音の里歴史民俗資料館)

穏やかな表情を見せる安念寺の「いも観音さん」(長浜市高月町渡岸寺・高月観音の里歴史民俗資料館)

 滋賀県北部の観音信仰の象徴的な存在で安念寺(長浜市木之本町)に伝わる「いも観音さん」10体が、同市高月町の高月観音の里歴史民俗資料館で展示されている。村人が戦国時代の戦火から守り継いだ観音で、お堂の改修工事のために資料館に預けられた。10体すべてが堂外で公開されるのは初めて。資料館は「お堂とは光の当たり方が違って、柔らかい表情が残っている」という。

 安念寺は賤ケ岳南麓にあり、奈良時代の726(神亀3)年の創建とされる。いも観音は平安期の作で、高さ41・5~152・5センチ。織田信長の兵火で寺は焼失したが、仏像は村人が門前の田の中に埋めて隠し難を逃れた。その際、大きく損傷したと伝えられる。

 寺伝では、昭和の初め頃まで夏に子どもたちがお堂から仏像を運び出して余呉川に浮かべて水遊びをし、大人たちが仏像を洗う風習があった。農繁期には田んぼのあぜに仏像を運んで子どもの守りをしてもらっていたという。江戸時代には「ほうそうの守仏(まもりぼとけ)」と呼ばれ、皮膚病に効験のある「身代わり観音」とされていた。

 お堂が老朽化し、西黒田地区の住民が昨年8~10月にクラウドファンディングで修復費の支援を呼び掛けると、目標額の200万円を上回る約550万円が集まり、今春、改修工事が始まった。

 展示は7月5日まで。火曜休館。有料。6月12日に展示説明会がある。