壬生菜(右)とミズナを持つ木村教授=京都市北区・京都産業大

壬生菜(右)とミズナを持つ木村教授=京都市北区・京都産業大

 京野菜の壬生菜は、ミズナとカブが交配してできたのかもしれない-。京都産業大などのグループは遺伝子解析と古文書解読を組み合わせた手法で、こんな研究成果を発表した。京都市中京区の壬生地域で盛んに栽培された壬生菜は1800年頃にミズナが自然交配してできたとされてきたが、グループは壬生菜にカブ由来の遺伝子配列を確認したという。ギザギザ葉のミズナと丸い葉の壬生菜。その知られざる歴史に光を当てたと言えそうだ。

 ミズナと壬生菜は同種の植物ながら、葉の形状は異なる。しかし葉の形状が異なるようになった経緯の詳細は不明だった。

 京産大生命科学部の木村成介教授は葉の形状の違いが専門だが、2010年に京都に赴任して壬生菜に関心を持った。文献を調べると1787年発刊の「拾遺都名所図会」に、壬生菜としてギザギザ葉の作物が描かれていることを確認。一方、丸い葉の壬生菜を描いた文献は1900年ごろまで見当たらなかった。

 ミズナと壬生菜を遺伝子解析して比較し、葉の形状に関わっている遺伝子領域を絞り込んだ。そのうち一つを調べると、TCP15という遺伝子に複数の変異があった。突然変異では数十年という期間でこれほど複数の変異が起こるとは想定しづらいため、グループは近縁のカブの遺伝子とも比較した。その結果、TCP15遺伝子は「紫姫」という品種のカブと似ていることが判明した。

 木村教授は「壬生菜という名称は1700年代には確立したが、当時の葉はギザギザだった」と説明。その後に何らかの理由でカブと交配して、葉を丸くするTCP15などの遺伝子が入り込んだとみられる。さらに数十年かけて19世紀中頃には、丸い葉の壬生菜ができたという。「まだ仮説の段階で検証が必要だが、遺伝子解析と古文書解読を組み合わせて京野菜の来歴に迫れたことは意義がある」と話している。

 論文は2日、国際科学誌ホーティカルチャー・リサーチに掲載される。