文部科学省の有識者会議が、デジタル教科書の在り方についての報告書を大筋でまとめた。

 学校でのデジタル教科書の導入は、あくまで教育の質を高めることが目的とし、「紙かデジタルかの二項対立に陥らないよう留意しなければならない」とした。

 デジタル化の利点や効果を強く打ち出した3月の中間まとめに比べて、「紙との併用」を強調した。

 実際に学校現場で活用する上での課題を踏まえ、慎重論を一部反映させた。

 小学校の教科書が改訂される2024年度からの本格導入を目指すとしているが、デジタルの良さをどう生かし、弱点を補うのか、子どもたちの学習効果を高める方策について十分な検討が必要だ。

 デジタル教科書は、紙の教科書と同じ内容をパソコンやタブレット端末などに取り込んで利用する。19年度から紙の教科書と併用して学校で使えるようになった。

 報告書では、画面上で直接書き込みや修正が容易で、動画や音声の再生、文字の拡大や読み上げもでき、障害のある児童生徒も学びやすいとしている。

 中間まとめに対する意見公募では、「学習効果が上がる科学的根拠がない」「視力や姿勢への影響が懸念される」といった否定的な意見も多かった。

 そうした指摘を受け、報告書は教育上の効果や健康面への影響も含めて検討するよう求めた。

 長時間のスマートフォン使用やゲーム依存など、デジタルを巡る子どもの現状を考えると、当然だろう。

 デジタル教科書を含むICT(情報通信技術)教育には、機器や教材、通信環境を整える必要がある。小中学校の紙の教科書は国費負担で無償だが、デジタル教科書の費用を誰が負担するかも課題だ。

 なにより、教員の指導力向上が欠かせない。研修や大学の教職課程のカリキュラム充実も必要になろう。

 自治体や学校、家庭の状況によって、教育の格差につながらないようにすることが求められる。

 デジタル教科書に備えるべき機能や操作性、過年度の教科書も使えるような仕組み、検定の在り方なども、さらに議論が必要だ。

 文科省は本年度、全国の小中学校などで、デジタル教科書を使った授業の実証事業を行っている。

 課題や問題点を洗い出し、学校現場の声をしっかり聞き取り、検討に生かしてもらいたい。