近鉄百貨店草津店(草津市)

近鉄百貨店草津店(草津市)

地方百貨店は閉店が増えている

地方百貨店は閉店が増えている

東急ハンズとの協業店「プラグスマーケット」。地元密着の品ぞろえで集客に貢献している(草津市・近鉄百貨店草津店)

東急ハンズとの協業店「プラグスマーケット」。地元密着の品ぞろえで集客に貢献している(草津市・近鉄百貨店草津店)

 インターネット通販や専門店などとの競争激化に加え、新型コロナウイルスの感染拡大で苦境に立つ百貨店。西武大津店(大津市)などのように閉店の動きも全国で相次ぐ中、近鉄百貨店草津店(草津市)はさまざまな新しい試みを積極的に採り入れ、「次世代のモデル店」と業界の注目を集める。その取り組みから、地方の百貨店が生き残るためのヒントを探った。

 JR草津駅から直結の近鉄百貨店草津店に入ると、県内産の食品や雑貨を取りそろえた売り場が広がる。東急ハンズと協業した新業態店「プラグスマーケット」だ。3万点の生活雑貨のほか、県内各地の作家や事業者の商品を扱う。


 草津店は2018年から3年かけて計5フロアの売り場を改装した。プラグスマーケットと並ぶ目玉が高級スーパー「成城石井」。生鮮品や総菜をはじめ、食材を豊富にそろえる成城石井は、地域住民の利便性の向上に大きく貢献している。草津店の売上高に占める食品割合は、一般的な百貨店の2倍以上に当たる約6割に達した。「デパートらしくなくて日常使いにちょうどいい」と、毎日買い物に訪れる近くの主婦(73)は笑顔を見せる。


 両売り場は、賃料収入狙いのテナントではなく、草津店側が対価を支払って相手の屋号を借りるフランチャイズ(FC)で運営している。接客や販売は近鉄百貨店の従業員が担うため、「百貨店の高い接客レベルを維持でき、収益性もテナント収入より高い」(営業推進課)という。


 一方、テナントでは、有名チェーンの書店やコーヒー店、学習塾、金融機関の支店を誘致した。多様な業種を集め、幅広い年代の客の来店機会をつくり出している。FCとテナントの売り場は店内の約3割に上る。24年度には45%まで引き上げる方針だ。


 草津店が店舗改革を急ぐ背景には、百貨店のビジネスモデルの行き詰まりがある。


 一般的な百貨店の売り場運営は、取引先を含めた「自前主義」が基本となっている。アパレルメーカーなどの取引先から商品の提供と販売スタッフの派遣を受けることで多彩な品ぞろえが可能になる。ところが、消費者ニーズの多様化などが進み、コロナ前から地方の百貨店の集客力には陰りが見えていた。


 ライバルとなる周辺のショッピングセンターとの差別化には、滋賀県と締結した産業振興に関する協定を役立てている。