女子テニス大坂なおみ選手の言動が波紋を広げている。

 四大大会の一つ、全仏オープンで、事前に予告した上で記者会見を拒否し、主催者側から罰金と出場停止を通告された。翌日には棄権を表明し、自身のツイッターで「うつ」だと告白した。

 予想以上に大きな問題となり、驚いた人も多いはずだ。

 大会では試合後の会見が義務付けられており、競技やファンのためにも出席すべきだと考える他の選手は少なくない。

 一方で、自ら心の問題を公表したことを評価したり同情したりする声もある。

 選手と大会の在り方や運営の「慣行」に一石を投じたと言える。

 浮き彫りになったのは、アスリートが抱える重圧の大きさだ。

 大坂選手は、うつに悩んでいたのは四大大会シングルスで日本選手初の優勝を決めた2018年全米オープン以降と明かした。長い間、苦しんでいたことになる。

 記者会見で話すことについても、不安や緊張に襲われ、ストレスになると打ち明けた。今大会直前には「心の健康状態が無視されている。自分を疑うような人の前には出たくない」と訴えた。

 タフなトップ選手とのイメージがあるが、精神的に追い込まれていたことがうかがえる。

 脚光を浴びる影で、メンタルヘルスの問題で苦しむトップアスリートは少なくない。過去には、米国の元競泳王者マイケル・フェルプス氏が、うつに苦しんだ経験を語ったことがあった。

 周囲の期待に応えようとするあまり、不安や心配を抱え込んでしまうことはあり得る。

 大会主催者や競技団体は選手の精神面へのサポートの充実を改めて考えるべきだろう。

 一方、全仏オープンなどの主催側は大坂選手の会見拒否に対し、罰金ばかりか、他の四大大会出場停止の可能性まで通告した。決まりとはいえ、選手生命を奪いかねない対応が適切だったかは議論の余地があろう。

 今回、大坂選手は会見を拒否できないルールを改善したかったと強調するが、問題提起が唐突だった感はある。主催者との対話で悩みが伝わっていれば、柔軟な対応が実現したかもしれない。円満に解決できなかったのは残念だ。

 大坂選手は、時期が来たら運営側と協力して、事態を改善する方法を話し合いたいとする。選手やメディア、ファンにとってより良い改善策を探ってほしい。