またも「政治とカネ」問題で、自民党の菅原一秀前経済産業相が議員辞職願提出に追い込まれた。

 選挙区内の行事の際、祝儀や会費名目で現金を配布した疑惑を巡り、外堀を埋められ、引責を余儀なくされたと言えよう。辞職は当然であり、遅きに失したと言わざるを得ない。

 菅原氏は無派閥の衆院議員で、菅義偉首相の側近の一人とされる。2019年9月、当時官房長官だった首相の後押しを得て、初入閣を果たした。ところが、直後に秘書が地元有権者に香典を渡した疑惑が発覚し、翌月経産相を退いた。

 東京地検特捜部は昨年6月、現金提供を認定した上で不起訴(起訴猶予)にした。だが検察審査会が今年2月、「起訴相当」と議決し、再捜査。選挙区内で現金を配った疑いが浮上、近く公職選挙法違反(寄付行為)の罪で、略式起訴するとの観測が広がっていた。

 包囲網が狭まり、菅原氏は自らの政治活動の一部が公選法に抵触すると認め、「不徳の致すところで、本当に申し訳ない」として議員辞職を決断した。罰金以上の刑が確定すれば失職するためとみられる。辞職はきょうにも衆院本会議で許可される見通しだ。

 自民党は菅原氏の離党届を受理した。25日告示の東京都議選や今秋までに衆院選が迫る中、関係の「清算」を急ぎ、選挙への逆風を和らげたいとの思惑が透ける。

 だが、菅原氏は国会に姿を見せず、記者会見も開かなかった。党幹部には「捲土(けんど)重来を期したい」との手紙を渡し、政治活動を続ける意向とも取れるが、まずは説明責任を果たさねばなるまい。

 同党では、参院選を舞台とした河井克行元法相夫妻の巨額買収事件や、秋元司衆院議員のカジノ汚職事件、吉川貴盛元農相の鶏卵汚職事件と「政治とカネ」問題が後を絶たない。自浄作用は働かず、長期政権の「緩み」「おごり」の帰結と言うほかない。

 今年4月、菅政権下で初の国政選挙となった衆参3選挙で、自民党は不戦敗を含め全敗を喫した。有権者の厳しい審判は、新型コロナウイルスへの対応の不満に加え、相次ぐ不祥事に対する批判が重なったためであろう。

 自民党には不祥事の真相解明と併せ、金権体質を改める責任がある。ところが、二階俊博幹事長は「『政治とカネ』は随分きれいになってきている。評価していただいてしかるべきだ」と強弁した。耳を疑う発言である。うやむやのままで幕引きは許されない。