新型コロナウイルスの変異株が世界で猛威を振るっている。

 現在の日本国内の流行「第4波」も、感染力の強い英国由来の変異株が全国に広がった影響とみられている。

 さらに強力とされるインド変異株の感染確認も相次いでおり、急拡大が危ぶまれている。

 だが、海外からの流入を阻む水際対策で、政府の対応は後手に回っている。

 検疫措置の甘さや不徹底による穴が目立ち、海外からのウイルスのすり抜けを防げる状況にない。

 実効性ある防疫対策と実施体制の抜本的な強化が急務だ。

 変異株の脅威は、厳しい封じ込め策で防疫の「優等生」とされてきたシンガポールや台湾で、感染者が急増していることでも明らかだ。それぞれ渡航者の受け入れを原則禁止したり、強制隔離期間を延長したりするなどの対策強化に躍起だ。

 日本も現在、全ての国・地域から外国人の新規入国を停止している。ただ、一定条件で許可された人が相当数おり、入国後の行動管理の緩さが問題視されている。

 入国可能なのは、邦人の帰国や在留資格のある外国人の再入国などだ。出発地の変異株の流行状況により3~10日間は指定施設で待機してもらい、検査で陰性と分かれば入国後14日間が経過するまで自宅での待機を要請している。

 政府は3月末から、全入国者に居場所や健康状態をアプリで毎日返答するよう求めている。対象は1日平均2万4千人に上るが、4月中は毎日200~300人の待機が確認できなかったという。

 入国時の検査で陰性でも、潜伏期間を経て発症することがある。隔離手段である待機が徹底できないのであれば、市中感染を広げる懸念が拭えない。

 先週の全国知事会でも、インド株の脅威を念頭に「水際対策が緩すぎる」「しっかり入国規制を」などと政府への批判が相次いだ。

 英国株阻止のため、政府は昨年末に外国人の新規入国を停止したが、中国や韓国など11カ国とのビジネス往来を一時認めた。それが流入を招き、関西を中心に急拡大したとの見方は強い。

 東京五輪・パラリンピックが開催されれば、選手・関係者ら少なくとも数万人単位の防疫措置がのしかかることになる。

 現在でも空港などの検疫体制は人手不足が指摘されている。水際での防御を徹底するための裏付けが不可欠だ。