「父の道具」と題した展示が、京都市左京区岡崎南御所町の古書店「ブックス・ヘリング」で開かれている。画家で著述家の林哲夫さん(66)=下京区=の亡き父が残した農具や工具。年季を帯びた鉄と木は実用の道を退き、芸術品のような美しさを発している。

 喫茶店の歴史を概観した著書「喫茶店の時代」(ちくま文庫)でも知られる林さんは香川県出身。父は農業に従事していた。「さまざまな作物を育てた」。米麦、タバコ、タマネギ、スイカ…。「品種を変えるたびに必要となる道具を、すでにあるものを組み合わせたり改良したりしていた」。家の修繕もあり合わせの材料でこなしたという。20年ほど前に83歳で亡くなった。死ぬ直前まで立ち働いていたという。

 納屋に多くの道具が残された。一つ一つが使い込まれており、味がある。捨てるには忍びない。「オブジェ作品として生かしたい」。そんな思いで京都の……