陸上自衛隊情報保全隊が住民運動などを監視した記録文書

陸上自衛隊情報保全隊が住民運動などを監視した記録文書

 参院で審議が始まった土地規制法案について、2016年に陸上自衛隊情報保全隊の住民監視を違法とする高裁判決が確定した訴訟の原告団が「裁判で違法なプライバシー侵害と断定された住民への監視行為を合法化する法案だ」と訴え、廃案にするよう求めている。

 訴訟は、自衛隊イラク派遣(03年から)に反対する運動を自衛隊に監視されていた東北地方の住民が国に損害賠償などを求めた。

 原告のうち、宮城県在住のシンガー・ソングライターの男性については「イラクに自衛隊を行かせないライブ」を開催、署名活動を行ったことが、日時や場所、公開していない本名や職業とともに情報保全隊の内部文書に記載されていた。

 このため男性は思想や表現の自由、プライバシー権などを侵害されたとして国家賠償を求めて提訴。仙台高裁が違法な監視と認定し、国が上告しなかったため確定した。

 弁護団事務局長の小野寺義象弁護士(宮城県)は「上告しなかったのだから、国は違法判断を受け入れるべきなのに、それを無効にするような法案を出すのはおかしい」と指摘。東京・永田町の参議議員会館で法案審議を担当する参院議員に廃案を求める要請文を提出した。

 小野寺弁護士は「法が成立すれば基地や原発などを監視する住民運動を合法的に監視できるだけでなく、被害を訴える住民が『施設機能を妨害した』として犯罪者にされかねない」と指摘している。

 土地規制法案は自衛隊や米軍基地、原発など、国が安全保障上重要とする施設周辺の土地所有者や利用者、関係者の調査や、「施設機能を妨害する行為」への中止命令などを可能にする。従わない場合は刑事罰も科せる。