許認可官庁と業界の癒着の構図が改めて浮き彫りになった。

 菅義偉政権を揺さぶった総務省接待問題で、第三者委員会は東北新社の外資規制違反に関する報告書を公表した。放送事業認定を取り消さなかった同省の当時の判断を「行政をゆがめたとの指摘は免れない」と断じた。

 行政への信頼を失墜させた同省の責任は重大だ。

 違法接待に端を発した調査は同省が外資規制違反をいつ認識し、どう対応したか、が焦点だった。

 報告書によると、東北新社の社内資料などを基に、2017年8月に当時の総務省担当課長が同社幹部と面談したと推定。3日後に別会社への事業承継を指示したとの記録もあり、違反を認識していた可能性が高いと判断した。

 同省は今年5月に衛星放送事業の認定を取り消した。ただ課長らは「覚えていない」としてかたくなに事実を認めず、調査結果とは食い違っている。

 だが、第三者委の「事実経過や理由について合理的な説明もできず、裏付けとなる客観的資料の提出もなかった」との指摘には説得力がある。課長らは合理的な弁明さえできないのに非を認めない。自浄作用は期待できそうにない。

 第三者委は、東北新社の幹部だった首相の長男も出席していた接待攻勢との関連を認めなかった。とはいえ、そもそもこうした会食の誘いに同省幹部が応じたのは、省内に強い影響力を持つとされる首相の威光抜きには考えにくい。国会の場で、その経緯を徹底的に解明し、何が問題だったのか検証しなければならない。

 一方、同省は幹部接待を巡る追加調査の結果を発表した。新たに78件の会食を伴う違法接待を確認し、関わった32人を処分したという。東北新社の外資規制違反が浮上した時期に同社から飲食代と野球観戦チケットを受け取っていた幹部がいたというから驚く。

 同省は2~3月にも東北新社やNTTによる違法接待で当時の総務審議官らを処分したが、追加調査で接待件数や相手先は大幅に増えた。強大な権限を握る官庁にすり寄る業界の実態が一層際立ったと言える。武田良太総務相を含め、なれ合いを見逃してきた歴代大臣も監督責任から逃れられまい。

 政府・与党は、早々に接待問題の幕引きを図りたいのかもしれない。だが根底には首相が人事権を駆使し、官僚を支配してきた構造的なゆがみが起因しているとの指摘もある。首相は当事者として、うみを出し切る責任がある。