大内さんの合図で語り始める人見さん(左)=京都府南丹市八木町・市役所八木支所

大内さんの合図で語り始める人見さん(左)=京都府南丹市八木町・市役所八木支所

 京都府南丹市八木町の音訳ボランティア「やまびこの会」は、市の広報誌の音訳を吹き込んだCDを視覚障害者に届ける取り組みを続けている。40年近い歩みが評価され、昨年には褒章を受けた。「私たちの声が八木の山々にこだまして、目の不自由な人にこころよく響くように」。メンバーは発足当初の願いをかみしめ、今後への意気込みを新たにしている。

 「新型コロナウイルスの感染拡大の防止について…」。5月下旬、同町の市八木市民センター。マイクに向かい、女性が語り始めた。税の納付期限や公共施設の休館情報など、月2回発行される「お知らせなんたん」に載せられた情報を、はっきりした口調で伝えていく。

 1ページの文字数は約2千。ただ読み上げるのではない。「米印(『※』)は『なお』に読み替えよう」「言葉の意味が分かりにくい」。伝わる表現を意見交換しながら考えるため、収録には4時間ほどかかる。人事異動が載った際は数百人の名を読み上げた。広瀬滋子さん(71)は「目に見える情報はすべて耳に届ける」とモットーを語る。

 1982年に地元の朗読ボランティア家垣町子さんが活動を始め、翌年に会が発足。以来、行政情報を目の見えない人に伝えてきた。現在、10人が心待ちにしている。講習で聴きやすい発声を学ぶなどして技を磨く傍ら、利用者との交流会を開催。声で覚えてもらっているのが、何よりうれしいという。

 メンバー10人の多くは高齢者だが、5年ほど前に人見広美さん(41)が加わった。人見さんは「『いつも聴いている』と言われ、やりがいがある。会の温かくて心地よい雰囲気も好き」と話す。

 昨年には緑綬褒章を受けた。代表を務める大内清美さん(81)は「声の広報を届けられ、生きがいを感じる。健康である限り、続けたい」と声に力を込める。

 利用者やボランティアを募っている。問い合わせは南丹市社会福祉協議会0771(72)3220。