筧千佐子被告

筧千佐子被告

 京都府向日市や大阪府の高齢男性4人に青酸化合物を服用させたとされる連続殺人事件で、3件の殺人罪と1件の強盗殺人未遂罪に問われ、一、二審で死刑判決を受けた筧千佐子被告(74)の上告審弁論が8日、最高裁第3小法廷(宮崎裕子裁判長)で開かれた。弁護側は認知症の影響による訴訟能力の有無を改めて判断すべきとした上で、各事件の立証が十分でないとして改めて無罪を主張した。判決期日は後日指定される。

 冒頭で弁護側は「今日、弁論を行うことは本意でない。(筧被告の)訴訟能力に重大な疑問があるのに無視して行うのは人権保障にもとる疑いがある」と切り出した。筧被告が軽度の認知症と診断された鑑定から約5年が経過していることを踏まえ、「認知症が一層進行しているのは明らか。審理を差し戻して、現在の訴訟能力について判断をお願いしたい」と述べた。各事件で青酸化合物を用いたとする死因についても、検査手法に疑問があり合理的な疑いが残るとして、これまで通り無罪を主張。死刑の違憲性にも言及した。

 検察側は、筧被告が拘置所で特別な介助を受けることなく生活しており、認知症の症状にも大きな変化がないと指摘。事件の立証も尽くされているとして、上告の棄却を求めた。

 上告審は被告人の出廷が求められておらず、筧被告は出廷しなかった。弁論は約1時間で終結した。

 一、二審判決によると、2007年から13年にかけ、夫の筧勇夫さん=当時(75)、向日市=ら男性3人に青酸化合物を飲ませて殺害し、07年には4千万円の返済を免れる目的で神戸市の知人男性1人も青酸化合物で殺害しようとした。