豪雨や台風で被災の恐れがある浸水想定区域や土砂災害警戒区域に立地する公立学校は、全国の約30%に当たる1万1175校に上ることが、文部科学省の初の調査で分かった。

 自治体は防災上の配慮が必要と位置づけているが、該当校に求められる避難計画を作成しているのは80%前後、浸水対策を施した学校は15%ほどにとどまっている。

 近年、梅雨時期から秋にかけ、大規模な風水害が全国各地で相次いでいる。児童生徒の大切な命を確実に守り抜くよう手を尽くし、備えることが急務だ。

 調査では、河川氾濫や高潮で被害の恐れのある浸水想定区域内にある学校が20%、土砂災害警戒区域内は11%で、両方に該当する例も1%強の493校に上った。

 京都はそれぞれ31%と16%、滋賀は30%と9%で、浸水区域内の多さが目立っている。

 区域内の学校は、水防法などで避難確保計画の作成を義務付けられているが、うち20%前後が未作成だ。計画に基づく避難訓練も30%前後で行われていない。これでは、災害時の迅速、的確な安全確保行動につなげるのは難しい。

 ハード対策の遅れも目立つ。浸水区域内で体育館入り口への止水板設置や電気設備の浸水防止策を実施済みは一部にすぎない。被災時の安全に加え、後の施設利用再開にも響きかねない。

 大雨被害の頻発を受け、国は2015年の水防法改正で、想定する被害を「千年に1度」級に引き上げた。今国会で成立した改正「流域治水」関連法は、中小河川でもハザードマップ(避難地図)を作り、周知するよう求めた。

 各自治体の被害想定やマップの見直し作業は進み具合にばらつきが見られる。専門的な人材やノウハウ、財政面で国の支援拡充が求められよう。

 学校の安全責任は、11年の東日本大震災で児童74人と教職員10人が犠牲となった宮城県・大川小の津波被害を機に強められた。

 同小は浸水想定区域外だったが、津波の到達を予見できたとする高裁判決が確定。文科省は、マップを超える災害への備えや複数の避難場所確保を求めた。

 だが、教員の人手不足や専門的な知識習得の難しさから取り組みの遅れが指摘されている。

 災害に脆弱(ぜいじゃく)な学校の立地見直しには時間がかかるが、発生は待ってくれない。被害リスクを可能な限り低減させる手だてと備えを積み重ねるほかない。