奈良時代の勢至菩薩立像(右)と眞光寺の観音菩薩立像(重要文化財)

奈良時代の勢至菩薩立像(右)と眞光寺の観音菩薩立像(重要文化財)

 眞光寺(大津市下阪本)の重要文化財・観音菩薩(ぼさつ)立像と3体ひと揃いで造られた可能性が高い奈良時代の「勢至(せいし)菩薩立像」が見つかったと、大津市歴史博物館が9日発表した。中央にあったとされる未発見の阿弥陀如来坐像を含め、離ればなれになった古代の仏像2体がひと揃いのものだったと分かるのは極めて珍しいという。11日から同館(御陵町)で公開する。

 勢至菩薩立像は高さ26・8センチの金銅仏。上半身は裸で裙(くん)(巻きスカート)を身に付けている。作風や構造から奈良時代初期の作と推定される。東京都内の個人所有者から3月に「眞光寺の像によく似ている」と同館に相談があり、調査していた。

 勢至菩薩立像は観音菩薩立像と作風や構造が酷似しており、銅の成分を蛍光エックス線で検査すると、スズや鉛の含有率が近似し、国内の同じ工房で造られた可能性が高いことが分かった。

 勢至菩薩立像は、中央に阿弥陀如来坐像、向かって右に観音菩薩立像を置いた上で左に配する脇侍で、単体では通常作られない。一方、観音菩薩は単体での信仰も多く、眞光寺の立像は来歴が残っていないため単体と思われてきたが、勢至菩薩立像との2体で両脇侍を構成していたとみられる。

 同館の寺島典人学芸員は「いつ離ればなれになったのか不明だが、約1300年前に作られた2体が再び出会うのは奇跡的」と話している。

 公開は2体を並べて展示する。27日まで。午前9時~午後5時。月曜休館。問い合わせは同館077(521)2100。