国会議事堂

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 参院で審議中の土地利用規制法案は、自衛隊や米軍基地、原発といった、政府が「重要」とする施設周辺の土地所有者や市民を国が監視できる内容だ。罰則もある重大法案なのに、審議が進むほど疑問が浮かび上がる。

 まず、法律を作る根拠となる事実(立法事実)が見当たらない。

 政府は「北海道千歳市や長崎県対馬市の自衛隊施設周辺で外資による土地購入や、全国の自治体からの意見書提出」を提案理由にしている。

 しかし、実際の意見書は16件。全国に自治体は約1800。千歳市や対馬市は意見書を提出していない。

 「立法事実があるのか」という野党の指摘に大臣答弁は二転三転し、最後は「安全保障の観点から答えられない」と言い出した。

 条文には、首相が「必要」に応じて重要施設周辺の土地利用者や関係者、自治体などに資料提供や協力を求めることもできる、とある。

 「重要」「必要」「利用者」「関係者」。政府答弁ではどれもあいまいなまま政令などで決めるという。

 馬奈木厳太郎弁護士(東京)は「権力行使に限定がない。極めて危険な法案だ」と分析。「自治体が首相の求めに応じて住民情報などを出さねばならない条文もある。地方自治が踏みにじられる」と指摘する。

 国会の関与が十分できない仕組みなのに与党は成立を急ぐ。自らの存在を否定しているように思えてならない。