例年より早く設置された大茅の輪をくぐる参拝者(10日午前9時9分、京都市上京区・北野天満宮)

例年より早く設置された大茅の輪をくぐる参拝者(10日午前9時9分、京都市上京区・北野天満宮)

 京都の夏の風物詩「茅の輪(ちのわ)くぐり」で使われるカヤを束ねた茅の輪を、境内に前倒しで設置する動きが京都市内の神社で広がっている。例年は疫病退散などを祈願する6月末の「夏越(なごし)の大祓(おおはらえ)」に合わせて据えられるが、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、早期収束を願って多くの人が茅の輪をくぐれるようにしようという配慮が背景にある。

 京都市上京区の北野天満宮は9日、楼門に「京都最大級」をうたう直径約5メートルの茅の輪を据え付けた。例年は祭神・菅原道真が生まれた6月25日の前日に設置していた。だが、今年はコロナ禍が長引く中、参拝者から早い設置を求める声もあり、神職たちが15人がかりで長さ約20メートルのカヤの束をつり上げて輪状に整えた。10日は朝から参拝者が輪をくぐった。

 同宮は設置を早めることで参拝者の分散を図れ、感染防止にもつなげられると期待する。同宮は「北野はもともと祓(はら)いと清めの場で、(30日の)大祓は重要な神事。多くの人にくぐってもらい、この夏を健康に過ごしてもらいたい」と参拝を呼び掛けている。

 一方、伏見区の伏見稲荷大社は1日に、直径約2・5メートルの茅の輪を設置した。例年は6月30日の「大祓式」前日に設置して7月1日には撤去していたが、緊急事態宣言による自粛要請など不安が募る生活が続いていることを踏まえ、昨年から前倒しでの設置を始めたという。同大社は「疫病にかからないように願うとともに、自身もかからないように気をつけようという気持ちを新たにしていただければ」としている。

 「疫病退散の神」としての信仰もあつい東山区の八坂神社は、昨年3月から茅の輪を境内に設置し続けている。同神社によると、明治期にコレラが流行した際、早期収束を願って茅の輪が臨時で設置された前例にならったという。同神社は定期的に茅の輪を交換しているといい「くぐってもらうことで、少しでも気持ちを軽くしてもえられば」としている。

 北区の上賀茂神社は例年通り10日から設置している。

 北野天満宮など一部の神社では例年茅の輪のカヤを引き抜いて持ち帰る参拝者が相次いでいるため、「感染防止のためにも、茅の輪には触れないようにしてもらいたい」(同宮)とも呼び掛けている。