約2年ぶりに行われた党首討論と同じ日に、政府は経済財政諮問会議を開き、今年の「骨太方針」案を提出した。

 菅義偉首相と野党党首がやり合う党首討論だけでは、言い足りないところが出てきそうだと、おもんぱかったのかもしれない。

 骨太方針は、経済政策や財政運営における政府の基本姿勢を示すもので、6月に案をまとめ、閣議決定する運びとなっている。

 重点施策、成長戦略などを包括的に盛り込み、年末の予算編成と税制改正に反映させるのだから、その中身をしっかりと見定めておく必要があろう。

 喫緊の課題である新型コロナウイルスなど感染症への対策では、国、自治体が病床や医療従事者を迅速に確保するための仕組みづくりなどを掲げた。感染拡大が1年以上も続く中、遅きに失した感はあるが、「必須科目」として取り組んでもらいたい。

 重点課題には、再生可能エネルギーを主力とするグリーン社会の実現、デジタル人材の育成、地方創生、子どもの課題に対処する行政組織の設置などを挙げ、投資を集中するという。

 これらの方針に、頭から異を唱える人は少なかろう。

 とはいえ、財源の裏付けとともに、実効性が十分に担保されているのか、懸念は募る。

 政府は、2025年度に国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス=PB)を黒字化することを、財政健全化の目標として掲げている。

 これは、政策経費を財政で賄えるようにして、膨大な借金を返す態勢を整えようとするものだ。

 内閣府は年明けに、高成長を見込んでも、25年度に7兆円余の赤字が残るとの試算を公表した。

 コロナ対策のために借金を積み重ねれば、PBの赤字はさらに拡大するはずである。

 目標達成が難しいのは、誰の目にも明らかだ。

 骨太方針案には、この目標について本年度中に検証し、達成年度を再確認する、との内容が盛り込まれている。

 これでは、厳しい現実を目の前にしながら、これといった対応をせず、問題を先送りすることにならないか。

 歳入を確保するのに、応能負担を強化するという。金融所得などを念頭に、場合によっては増税もやむを得ない、との姿勢なのだろう。この点も、もっとはっきりさせて、国民に示すべきだ。