京都地裁

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 暴力団組長に刑務所収監を逃れさせるため、検察庁に虚偽の回答書を提出したとして、虚偽診断書作成・同行使の罪に問われた康生会・武田病院(京都市下京区)元勤務医の医師(63)の判決が19日、京都地裁であった。齋藤正人裁判長は「記載内容が医学的・客観的に虚偽と認定するには疑いが残る」として無罪を言い渡した。求刑は禁錮1年6月だった。

 起訴状によると、医師は2016年1~2月、組長(62)の病状に関する大阪高検の照会に「心室性不整脈が頻発し、症状が重篤化することが安易に予測できる」とする虚偽の回答書を提出した、とされていた。高検は、この回答書などを基に収監を約1年にわたり見送った。

 裁判で検察側は、組長の不整脈が14年の腎臓移植で改善したにもかかわらず「移植前の診断結果を流用し、重篤と診察した」と主張。弁護側は、移植後も不整脈の自覚症状などがあったとして無罪を訴えていた。

 齋藤裁判長は、組長の腎移植後の心機能は正常だったと認定したが、「過去の検査結果や自覚症状から、心臓突然死の危険がある心室性不整脈と判断したことが真実に反すると断ずるには、合理的疑いが残る」と述べた。

 腎移植前の過去の診断結果を、時期を明示せずに用いた点は「不適切だった」としたが、直ちに結論が事実に反するとはいえないとした。収監を逃れたい組長の意図を理解し、金品を受け取っていたと検察側が主張した動機についても、「そのような動機があるとしても、虚偽回答を推認させる力は極めて弱い」と退けた。

 京都地検は「判決内容を精査し、上級庁と協議の上、適切に対応したい」とコメントした。

 組長収監を巡る一連の事件では、京都府警が17年2月、京都府立医科大付属病院と武田病院の強制捜査に着手。医師を逮捕し、府立医大病院の前院長と主治医も虚偽有印公文書作成・同行使容疑で書類送検したが、前院長と主治医は不起訴となった。