滋賀県立近江学園で見つかった優生手術申請書など。県が再調査を始める契機になった

滋賀県立近江学園で見つかった優生手術申請書など。県が再調査を始める契機になった

 優生保護法(1948~96年)の下、障害者らに強制不妊手術が繰り返された問題で、滋賀県は19日、県立病院や福祉施設で手術に関する個人記録を県独自に再調査すると発表した。厚生労働省が昨年夏に実施した調査は要件が緩く、厳格な内容にした。被害の裏付けや救済につながる新たな記録の発見が期待される。

 全国の病院や福祉施設を対象にした厚労省の調査では、県立施設で記録は発見されなかった。しかし京都新聞が情報公開請求をしたところ、今年2月に知的障害児施設「県立近江学園」(湖南市)で手術申請書などが見つかった。

 厚労省の調査では、各施設に「回答は任意。記録の洗い出しや網羅的な確認は求めない」と通知していた。回答率は低く、近江学園の事例で調査自体の甘さも浮き彫りになった。

 そこで県は「可能な限り、県が関与した記録を把握する」と再調査に乗り出した。障害者施設や医療機関など10施設分を対象に、96年以前の医務日誌やカルテなど「すべての個人記録」を探すよう厳格化。手術申請書や遺伝調査書、健康診断書などが埋もれていないか、強制力を伴う調査にした。

 大型連休前の4月26日までに各施設から回答を求め、5月中旬に公表する予定。調査の状況によって延期もあり得る。

 三日月大造知事は会見で「今回は深く掘り下げて、資料をめくり直す。過去に優生手術の実施に関わった県として真摯(しんし)に反省し、誠実に取り組みたい」と話した。

 県が実施する再調査は、厚労省の調査では対象としていた県内の市立病院などを含まない。三日月知事は「まずは県の資料を把握したい」として、各市への調査要請は検討していないとした。

 厚労省は「県独自の取り組みでコメントする立場にない。国として再調査をする予定はない」とし、京都府の担当者は「再調査は現時点で検討していないが、今後は分からない」と話した。

 国の統計では、少なくとも滋賀県では282人が不妊手術を強いられた。県は「保存期限切れ」などを理由に関連公文書の大半を廃棄しており、個人記録は11人分しか確認していない。京都府は95人が被害を受け、記録が残るのは13人分。