「山脇源平商店」(滋賀県米原市)の山脇和博社長(72)は、「源平」の屋号で、1730(享保15)年から伝統工芸品「近江真綿」を生産する老舗工房の9代目。当時と変わらぬ手作業製造にこだわる一方、地元住民と協力して原料の繭づくりに着手し、新商品開発にも意欲的に取り組む。

 絹製品の一種の真綿は、温かく蒸れず、最高の防寒材ともいわれる。かつては多くの地域で生産されたが、米原市岩脇地域の真綿は特に質が良く、江戸期には彦根藩から、他に類がないほど優れているという意味の「無類飛切御免細工」のお墨付きを与えられた。

 山脇さんが子どもだった昭和30年代までは、約7割の住民が従事する地域の主産業だったが、安価な中国産の流入や化学繊維の台頭で多くが廃業。約30年前には生産者は地域で山脇さんだけとなった。全国的にも衰退し、国産繭で真綿の製造を手掛けるのは現在5業者のみという。

 「すでに斜陽産業で継ぐ気は……