新型コロナウイルスのワクチン接種が、今週から国内で急拡大している。

 会社などで従業員らに打つ「職場接種」が、全日本空輸と日本航空で、約1週間前倒しして始まった。JR東日本、伊藤忠商事はじめ多くの企業と大学でも、21日の開始を目指して準備を進めている。

 職場接種を申請したのは、2300カ所を超えるとされる。1100万人以上がワクチンを打つ予定となった。

 これで、医療従事者と高齢者だけでなく、現役世代や若年層にも接種が及ぶ。

 加えて、東京と大阪で自衛隊が運営する大規模接種センターは、対象を首都圏と関西の計7都府県限定から全国に広げた。

 打てる人から打つ姿勢を、強く打ち出したとみられる。集団免疫の獲得を早めるには、理にかなったやり方といえよう。

 接種範囲の拡大は、ワクチンの供給量を増やしたことで、可能となった。

 とはいえ、国内で1回以上接種を受けたのは、まだ人口の約1割にすぎない。

 日本を除く先進7カ国(G7)を見渡すと、18歳以上の8割近くが受けた英国、成人の64%に達した米国はじめ、いずれも高い接種率を誇っている。

 米英のように、ワクチンを自国で生産することが、いかに大事か、よく分かる。

 日本では供給量が限られているのに、自衛隊のセンターで、14~27日の接種への予約が、想定より大幅に少なかったのは、残念であった。

 自衛隊員や警察、消防などで危機管理を担う職員らに打って使用したが、政府には、ワクチンが過不足なく希望者に届くよう、一層の工夫が求められそうだ。

 職場会場の申請には、会場を用意するだけでなく、自治体などの妨げとならないよう、医師らの「打ち手」を、自前で確保する必要がある。

 同じ会場を使って、最低千人程度を集め、2回打つことができる、といった要件もある。

 これでは、打ち手となる人材が乏しく、従業員の少ない中小・零細企業は、職場接種をやりたくてもできないだろう。

 希望する複数の事業所を取りまとめ、申請要件を満たすような対応を検討してもらいたい。

 また、職場では打ちたくない人がいるはずだ。接種を強要しない配慮も、忘れてはなるまい。